資産総額4兆元以上を有する中国農業銀行は、このほど、株式会社化をスタートさせると明らかにしました。このことは、中国の国有商業銀行の市場化改革が、重要な締めくくりの段階に入っていることを示しています。この改革は、中国の商業銀行にどんな変化をもたらすのか、今後、商業銀行がどんな課題に直面するのか。
2003年から、中国は、国有独資の商業銀行に対して株式会社化を始めました。今、4大国有商業銀行のうち、中国銀行、中国建設銀行と中国工商銀行はすでに、改革を終え、株式市場に上場しています。国有商業銀行の改革について、中国人民大学証券・金融研究所の趙錫軍教授は、次のように語りました。
「金融機構全体からいえば、中国の金融体制は、商業銀行が主体を占めている。そのなかで、4大国有商業銀行は、独占的な地位にある。したがって、この4大銀行の改革は、中国の銀行体制の未来を決めるものであり、金融体制の発展に重要な意義を持っている」
最新のデータによると、2006年末までに、中国の商業銀行の資産総額は、43兆元となり、そのうち、4大銀行の資産総額は、23兆元に達しています。また農業銀行を除いて、株式市場の上場を果たした3行の商業銀行では、自己資本比率が10%を超えています。これは、国際基準である8%より高くなっています。中国の中央銀行である中国人民銀行の周小川総裁は、これについて、商業銀行改革が明らかな成果を収めたものと受け止めています。周小川総裁の話しです。
「今、中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行の改革は、着実な成果を収めている。管理システムが完成し、リスクコントロールの能力が高まり、また財務状況、自己資本比率、資産の質などが改善された。上場を果たした3行の商業銀行は、資本金補給制度や情報公開制度を設け、その主導的役割を十分に発揮している」
改革は、国有商業銀行に対し、市場を基準とした経営を要求しています。趙錫軍教授の話によると、改革によって、国有銀行は、これまで政府に対して責任を取っていたが、現在は株主やクライアントに対して責任を取るように変わったということです。中国最大の商業銀行、中国工業商業銀行の楊凱総裁は、改革がもたらした変化について、こう語りました。
「株式会社化と上場は、厳格な市場監督、そして世論による監督をもたらした。上場したからには、正確かつタイムリーに十分な情報を公開することが、市場の基本的要求である。だが、これは、私たちにとって今までになかった要求だ。」
株式会社化は、国有商業銀行にとって画期的な出来事ですが、改革は、すべての問題を解決することができません。金融業が市場開放され、外資銀行が次々と参入する状況を背景に、国有商業銀行は新たな課題に直面しています。
まず、不良債権です。中国の貸付けの大部分が商業銀行に集中しており、経済改革は、貸付の質に影響をもたらすはずです。また、石油価格の高騰や、貿易摩擦、為替レートの変動などが中国の一部の業界にもたらす影響も、商業銀行の貸付けリスクを増やします。さらに、商業銀行の経営能力や、リスクコントロール能力も改善していかなければなりません。(翻訳:李軼豪)
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