第16回国際エイズ会議はこの13日から18日までの六日間、カナダのトロントで開かれました。
今回の国際エイズ会議には世界各国から学者、政府関係者などおよそ2万4千人が参加しました。
会議はエイズの予防・治療法と関連薬品の開発が主要な議題となりました。
WHO・世界保健機関のノードスツローム事務局長代行は、「微生物を消滅させる女性用のエイズ予防薬剤やワクチンなど新しい予防・治療法の開発に多くの資金を投入すべきだ」と述べました。
会議ではエイズの予防・治療に関する研究成果が数千件も発表され、このうち注目度が一番高かったのは女性向けに開発された微生物を消滅させる薬剤です。この薬剤は性的接触で感染したエイズ・ウイルスを消滅し、また避妊効果もあります。 会議ではまた、エイズワクチンの研究成果も発表されました。このワクチンはエイズ患者の免疫システムを刺激し、エイズ・ウイルスを識別させて破壊する機能をもっています。医学界で有望視されている二つのエイズワクチンも臨床実験の最終段階に入っています。
国際エイズ学会(IAS)の前会長で会議の共同議長を務めたウェインバーグ大教授は「新薬の開発と予防技術の進歩だけが国際エイズ会議の成功を意味しているわけではなく、会議の重要な目標は『行動の時』というテーマを人々に意識させることにある。何百万人にも上るエイズ患者に、抗レトロウィルス薬による治療(ART;Anti-Retrovirus Therapy)を出来るだけ早く実施し、感染の拡大を抑制し、一部の国家の指導者にエイズへの認識度を深めさせるべきだ」と語りました。 国連エイズ合同計画(UNAIDS)の推測によりますと、去年末までに、世界のエイズ感染者は約3860万人にのぼっており、医薬不足の原因で死亡したエイズ患者は毎日約1万1千人に達しているということです。 これについて、スティーブン・ルイス国連アフリカ・エイズ問題特使は「関係国政府がこの問題を重視して実際の行動をとり、資金投入とエイズ救援の範囲を拡大し、男女不平等の解消など効果的な措置を実施しない限り、エイズによる被害の撲滅は不可能だ」と指摘しました。
アフリカでの介護スタッフ不足が極めて深刻している現状についてケニアのエイズ専門の医者ドゥアティ女史は、「エイズの予防と治療で世界では430万人にものぼる医者や介護スタッフが必要となっており、エイズ感染の最も深刻なサハラ南部アフリカでは少なくとも62万人の介護スタッフが必要となっている」と述べました。 今回の国際エイズ会議ではカナダの歌手グレン・マーレイ(Glen Murray)氏が「子供の様に(Like A Child)」というエイズ撲滅を願う歌を捧げました。
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