先週から世界各国のイスラム教徒は抗議活動を行い、EU・欧州連合諸国の新聞がイスラム教の預言者ムハンマドを批判的に描いた風刺漫画を掲載・転載したことに憤りを表しました。
一部の国でイスラム教徒の抗議活動が暴徒化し、住民の死傷と財産の損失を起こしました。
これに対し、国際社会は冷静を保ち、事態の激化を避けるよう関係諸国に呼びかけました。
事件の発端は去年9月デンマークの保守系有力新聞「ユランズ・ポステン」がイスラム教の預言者ムハンマドを批判的に描いた風刺漫画を掲載し、漫画では預言者ムハンマドは爆弾がついたターバンを頭に巻いていました。
今年に入ってEU主要国の新聞は言論の自由を訴えてこれらの漫画を転載しました。
こうした行動はイスラム諸国で大きな波紋を広げ、中東などのイスラム世界で大規模な抗議活動が勃発しました。
こうした事態は国際社会の関心を集め、アメリカ、イギリスなどの国からも「イスラム教を冒涜した」との声も出ています。
こうした中、イスラム教徒の憤りが激化し、この4日、シリアの首都ダマスカスで群衆はデンマークとノルウェー両国の大使館に放火し、レバノンのベイルートではデモ隊がデンマークの総領事館を包囲し、数十人が負傷しました。アフガニスタンではデモ隊と警官隊が衝突し、6人が死亡し、負傷者が多く出ています。
事態の激化を受け、シリア政府の宗教担当閣僚は「民衆は預言者ムハンマドへの冒涜漫画に抗議する権利をもっているものの、合理的方式を取るべきで、イスラム教の教えを超えてはならない」とし、デーマークとノルウェー大使館が放火された事件に遺憾の意を表しました。
レバノンのシニオラ首相は「イスラム教は暴力と繋がらず、治安を破壊する行為は間違ったイスラムのイメージを与えた」と非難しました。
国連のアナン事務総長もスポークスマンを通じて声明を発表し、憂慮を示しました。
声明は「ユランズ・ポステン紙の謝罪を受け入れ、自制を保ち、事態を収拾するよう」イスラム世界に呼びかけました。
フランスのドストブラジ外相は6日「漫画事件の対応で冷静を保つべきである。フランスは暴力による解決に反対し、和平交渉は一つの解決法である」と述べました。
イギリス政府は国内のデモ活動に対し、「暴力扇動行為を受け入れることはあり得ない。ロンドン駐在外国公館への放火意図が発覚すれれば、政府は警察の行動を全力で支持する」と発表しました。
イギリス国内最大のイスラム系社会団体「全英ムスリム協会」は「暴力を扇動することは恥ずかしく、イスラム教の教えに合わない」と発表しました。
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