中国東北部の黒龍江省ハルビン市の水源、松花江の水が汚染されたため、生活用水の供給が停止して3日目に入りました。今月13日、松花江上流の吉林市にある化学工場が爆発し、工場からの汚水が松花江に流れ出しました。汚染物は主にベンゼンとニトロベンゼンです。
今回の事件について、中国国家環境保護総局の張力軍副局長は、「爆発事件発生後、関係部門は直ちに汚染物の排出口を封鎖した。松花江上流にある水力発電所からの水量を増やし、川の水を薄めて汚染緩和に努めた。また、川の水を利用している企業と住民に関連情報を伝えた」と述べました。
松花江の水を利用する人は主に、吉林省の松源市と黒龍江省のハルビン市に集中しています。松源市は通報を受けて、松花江からの吸水口を直ちに封鎖し、予め準備していた貯水を住民に供給することで、飲用水の安全を確保しています。
24日未明、長さ80キロにわたる川の汚染部分がハルビン市に到達しました。ハルビン市政府は事前に生活用水の停止を市民に知らせ、住民自身で水を確保するよう呼びかけると同時に、周辺地域から飲用水を大量に購入しました。そして23日未明から市内の水道水の供給を停止しました。地元のスチーム暖房を管轄する部門も事前に水を蓄えておきました。加えて、市政府は、大学や病院などの生活用水を確保するため、95の井戸の掘削を計画しています。
生活用水の停止が発表された当初は、飲用水の不足が見られましたが、現在は十分な供給量が確保されています。地元住民の張さんは、「ハルビン市政府の措置も良かったし、家中の全ての容器を使って貯水しているから、四、五日の間は問題がない」と語りました。
現在、ハルビン市の商工、公安などの部門は市場の監督と治安を強化し、一部の人が水不足を利用して便乗値上げすることを防止しています。
今のところ、専門家はすでに生活用水の供給を回復する方法を策定しました。ハルビン市政府は汚染水域がハルビン市を通過した後、緊急対策を取り、水中の汚染物を浄化し、27日までに、生活用水の供給を再開できるよう努力しています。
汚水がハルビン市を通過後、700キロ先で、中国とロシアの国境に位置する黒竜江に入ります。そのため、この汚水がロシアの水源の安全にも影響を与えるのではと心配されています。これについて、国家環境保護総局の張力軍副局長は、「24日の午前、国家環境保護総局の謝振華局長は中国駐在ロシア大使と会見し、今回の汚染事件について全ての情報を伝えた。汚水がハルビン市を通過した後も、中国が得た情報はすべてロシアに知らせる。現在、中国とロシアは連絡を密にするためのホットラインの設置を急いでいる。汚染された水域が黒竜江に入るまで14日ほどかかり、その影響は徐々に衰えていくだとう」と語りました。
現在、水質観測部門は松花江の水を検査する頻度を増やし、30分ごとに行なっています。この3日間では、汚染物の濃度が著しく低下し、水中のベンゼンの量も標準まで改善しています。
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