現地時間の8日午前8時50分ごろ、パキスタン北東部で、強い地震が発生し、インド北部やアフガニスタン首都カブールなど多くの地区で、強い揺れを感じました。地震の被害は大きく、関係筋によりますと、今現在、およそ2000人近くが死亡したということです。
パキスタン、インドとアメリカ地震観測部門の調べでは、今回の地震の震源は、イスラマバード北東約95キロ、カシミールの首都ムザファラバー ドから70キロ離れたところにあり、震源の深さは、およそ6キロ。パキスタン、インドとアフガニスタン三つの国の首都で、強い揺れがあり、被害がもっともひどかったのは、パキスタン北部とカシミール地方だということです。
報道によりますと、パキスタン中部と北部の多くの町では、建物が倒壊し、1万8千人を超えるパキスタン人が死亡しました。また、パキスタン駐在の中国大使館がまとめたところによりますと、中国人のエンジニア一人が死亡し、また、4人の中国人労働者が負傷したとのことです。
カシミール地方では、41名の安全部隊の兵士を含む300人が死亡、700人が負傷しています。電気や水、通信などは未だに回復されていません。アフガニスタンの被害はそれほど大きくありませんが、少なくとも一人の子供が倒れた家の下敷きとなり、死亡したということです。
専門家によりますと、今回の地震はヒマラヤ地震帯に位置し、インドプレートと欧州、アジアプレートが互いに作用した結果で、今後一ヶ月、余震が発生し続けると分析していますが、震度は、それほど、大きくないということです。また、アメリカと日本の地震研究部門が、地震による津波は発生しないとしています。
地震発生後、パキスタンのムシャラフ大統領は、もっとも被害が大きかった地域に赴き、「今回の地震は、パキスタンにとっての試練である。すでにパキスタン政府による被害救助作業が始動した。軍隊や警察、民間人を出動させ、医療救援や倒壊した家屋のの片付けに当たっている」と述べました。また、インドのシン首相は、「インド中央政府は、被害地域の人々のため、援助に力を入れていく」と語りました。インド政府は、現在、多くの兵士とヘリコプターを現地に派遣し、更に2300万ドルを拠出しました。
注目されているのは、地震が発生した日の夜、インドのシン首相が、パキスタンの地震被害があまりにもひどかったことで、電話でカシミール問題で対立していたパキスタンのムシャラフ大統領に慰問の意を表したことです。シン首相は、「いつでもパキスタンに援助できる準備ができた」と述べました。これに先立ち、インドの外相らは、パキスタンの必要に応じて、インドは直ちに行動し、援助するとパキスタン側に伝えました。
世界各国は、これらの国の地震被害に強い関心をよせています。中国の胡錦涛国家主席は、8日ムシャラフ大統領に電話し、お見舞いの意を示し、「パキスタン政府と人民は、困難を乗り越え、再建を果すことを信じている」と述べました。また、国連は当日、専門家緊急援助グループを成立させ、災害被害の把握や救援などの面で協力していくとのことです。アメリカやEU・欧州連合なども相次いで、被害国に援助を提供したいとの意を示しました。
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