国連貿易発展会議は29日、「2005年度世界投資レポート」を発表しました。このレポートは「多くの多国籍企業は研究開発活動を一部の発展途上国に移転し、研究開発の国際化が投資と就業にチャンスを提供しているが、これらのチャンスをうまく利用するために、政府と国際社会は適当な政策を講じなければならない」と指摘しました。
今年、国連貿易発展会議は初めて「世界投資レポート」で多国籍企業の研究開発活動の調査を行いました。このレポートは「多国籍企業が世界研究開発活動で支配的地位を占めている。2002年、多国企業の研究開発経費は世界研究開発経費6770億ドルの半分近くを占めた。一部の大手企業の2003年度研究開発経費は50億ドルを超えた」としています。国連のアナン事務総長は「現在、多くの企業は発展途上国を安い労働力の供給源とするだけでなく、経済成長とハイテク技術開発の源と見なしている」と指摘しました。
レポートはまた「大手の多国籍企業はより多くの研究開発活動を一部の発展途上国、特にアジアの発展途上国に移転している。世界では研究開発支出が最も多い企業の半分以上が中国、インド、シンガポールで研究開発活動を行っている。中国では、この10年間に設立された外国研究開発機構は700ヵ所に達した。インドでは多国籍製薬企業の多くが臨床研究活動に取り組んでいる」と指摘しました。
過去、大手企業が発展途上国で行った研究開発活動はその製品を地元市場のニーズに合わせるようにするだけでしたが、現在、地域及び世界市場を目指して技術開発活動を展開する傾向が見られます。
この状況の原因を分析した時、レポートは「世界的範囲の競争激化に対応するため、企業はコストダウンを図り、技術革新を加速させなければならない。一部の発展途上国では労働者の給料が安く、熟練工も多く、これらの有利な条件は多国籍企業を強く引き付けた。以前、科学技術の人材が先進国に独占される状況は変ってきており、中国、インド、ロシア3カ国の技術専攻の大学生は世界の3分の1を占めた」としています。
このレポートは「研究開発の国際化傾向は継続されていく。発展途上国の企業と研究機関がこれらの活動に参加することに伴い、その自身のレベルは絶えず向上し、より多くの業務を引き付ける」と予測しました。レポートはある調査結果を引用し、「中国を将来の研究開発の目的地とすると答えた企業は61.8%、次はアメリカとインドだ」としました。
報告は「研究面での外国の直接投資は発展途上国自身の革新力の向上に有利だが、発展途上国が0多国籍企業の研究開発活動を引き付けることができるかどうか、更にこれらの活動から利益を得るかどうかは発展途上国自身の技術レベルによって決まる」と見ています。
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