インドネシア政府と同国アチェ州の分離独立派組織「自由アチェ運動」はフィンランドのヘルシンキで第５回協議を行い、和平協定に関する基本合意に達し、協定は来月１５日に正式調印するとなっています。

　インドネシアスマトラ島の西端にあるアチェ州は人口が４００万人で、その９０％がイスラム教徒であります。１９７６年創立した「自由アチェ運動」は資源配分の不均衡と宗教や文化の格差を理由として独立したイスラム国家の樹立を求め、インドネシア政府軍と武装闘争を続けてきています。およそ３０年にわたるアチェ紛争で犠牲者は１万人を超えています。

　去年１２月スマトラ島沖で大地震と津波が発生し、アチェ州は甚大な被害を受けており、こうした情勢の下でインドネシア政府と「自由アチェ運動」は停戦と災害復旧をめぐって接触し、対話を実施し始めています。

　双方は政治手段によるアチェ紛争の平和的解決を希望し、協議はフィンランドのアハティサーリ前大統領が仲介して１月下旬からヘルシンキで行なわれています。

　第５回協議を前に、「自由アチェ運動」は「和平協定を調印すれば、政府側の条件を受け入れ、独立への要求を放棄し、アチェ州として自治を実施する」との声明を発表しました。

　アチェ紛争の合意達成で関係世論は「自由アチェ運動が求めてきた分離独立は国際社会の支持を得ておらず、インドネシア、マレーシア、シンガポールはマラッカ海峡でのパトロールを強化し、同運動の武器・資金獲得ルートが遮断され、政府軍の長期的掃討で運動は弱化し、現地住民はインドネシアからの離脱を支持しない」としています。