戦後、中国の東北部に残留した日本人女性をヒロインに、戦争を背景にした人間性や愛を描く中日共同映画『純愛』(製作総指揮・脚本: 小林 桂子,監督・脚本: ジャン・チンミン)が7日から北京市内の映画館で上映されます。主催者は、興行収入を四川大地震の被災地に寄付し、成都や重慶で無料上映を行うと発表しました。
上映に先立って行われた映画鑑賞会で、監督のジャン・チンミンさんに話を伺いました。
記者:この映画で一番表現したいと思ったことは何ですか。
監督:戦争という過酷な状況にさらされた人間性、その人間性の中のやさしさや寛大さがあれば、困難を乗り越えられるということです。人生の光の部分を見せてもらい、見る人に新しい希望を伝えられればと思っています。
記者:どのようなきっかけで、中日関係を題材にした映画を作ろうと思ったのですか。
監督:私は日本で8年間留学した経験があり、両国関係の複雑さを認識しています。どちらかだけの立場に立って、映画を作ってしまうと、公正さと的確さに欠ける恐れがあると思います。両国の人々の心の動きを的確に捉えた上で、初めて感動的な作品を仕上げることができます。この映画は、中国人の大らかさとやさしさを描き、また、戦争が終わった後、両国国民はいずれも穏やかな暮らしに憧れながら行き続けていることを描いています。生きていきたいという人間の本能に着眼しています。
記者:たいへん感動的な映画でした。ただし、戦争の残酷さや人間の心に与える傷の深さについての描写が少ないようにも思いましたが…
監督:この作品は戦後の人間性と愛がテーマです。オープニングの部分では、大勢の中でたった2人しか生き延びることができなかったことを描き、戦争の残酷さについて触れました。戦争の残酷さを訴えること以上に、戦後の人間性への回帰、愛への回帰をテーマにしています。
記者:両国の観客にそれぞれ一番、伝えたいことは?
監督:中国の観客には、人間性の中の美しいもの、中国人の大らかさと善良さを伝えたいです。日本の人たちには、中国人は歴史を忘れないが、目は未来に向けているということにも注目してほしいです。全体として言えば、両国の人々に対して、愛や人間性について目覚めてほしいと思っています。
記者:撮影中に、一番大変だったことは?
監督:どんな映画でも、仕上げることは大変な作業です。今回の作品で言えば、とりわけ、両国の国民の気持ちをどのようにして的確に描き出すか、目の動きや行動を通して、彼らの心理を的確に描写することが難しかったです。
記者:女性を主人公にした特別の理由は?
監督:この映画は女性映画です。命は女性によって育くまれるもので、戦後再建のプロセスは、女性が愛情豊かに命を見守るプロセスであってほしい。このような気持ちを託して製作しました。
記者:大地震で被災した四川で無料上映する予定だそうですね。
監督:この映画は大地震を描いたものではないですが、大きな災害を経て、再建にとりかかるという視点では、通じるものがあるように思います。6月末頃に被災地でも上映できればいいなと思っています。(取材:Yan)
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https://japanese.cri.cn/151/2008/06/07/1@119838.htm
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