中国映画の黄金時代とされる1930年代。上海映画界のトップ・スターとして活躍した実在の女優・阮玲玉(ロアン・リンユイ)の物語です。
阮玲玉は幼いとき父親を亡くし、女中として住み込みで働く母とふたりつつましく暮らしていました。
1926年、阮玲玉が16歳の時、その家の息子・張達民と恋仲になりますが、反対され家を追い出されてしまいます。張達民はへの想いをつらぬき、ふたりは駆け落ちします。
張達民と暮らし始め、学校もやめてしまった阮玲玉は、友達の紹介で、映画『掛名夫妻(義理の夫婦)』の主役オーディションを受けます。監督監督に見初められた阮玲玉は、見事主役の座を射止めます。
『掛名夫妻』での彼女の演技は素晴らしく、その後も立て続けに『野草閑花』『小玩意』『神女』『人生』などに出演、瞬く間に上海のスーパースターとなりました。しかし一方で、恋人の張達民はギャンブルに溺れ、阮玲玉に対し暴力的になっていきます。我慢できなくなった阮玲玉は、張達民のもとを去ります。
その後、阮玲玉の前に現れたのは、茶商人・唐季珊でした。阮玲玉は、彼の愛人となることで、生活苦を脱します。
阮玲玉のもとに、新作映画の話がきます。作品の名は『新女性』。社会に反発して生きる女性たちの物語でした。当時はまだ封建的な考えが残っている社会で、この映画に出演した阮玲玉はバッシングされ、マスコミにあることないこと書き立てられてしまいます。かつての恋人・張達民もマスコミと結託して、阮玲玉をゆすりにかけます。阮玲玉は唐季珊や「新女性」の監督に助けを求めますが、誰ひとり、彼女に救いの手を求める人はいなかったのです。
孤独に打ちひしがれた阮玲玉は、1935年3月8日、自らその命を絶ちました。まだ25歳でした。彼女の遺書には、「人言可畏(噂は恐ろしい)」という4文字が記されていました……
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