2月の番組で「貧困家庭への学費援助」について紹介しましたが、みなさん、覚えていますか?現在、中国で家計の苦しい子供が大学へ進学する場合の学費問題は、中国政府の入学援助貸付制度を利用することで解決でき、残った生活費の問題も学校が紹介するアルバイトをすることで、解決できるようになっています。しかし、このように家庭の経済状況がよくない優秀学生は、順調に進学できたとしても、大学生活に慣れるまで様々な困難にぶつかるケースがあるようです。この学生たちはどのように工夫して大学生活を送っているのでしょうか?今回は潘玲莉さんの例を紹介します。
2004年夏、中国西北部にある陝西省の農村部に住む潘さんは、西安にある西北工業大学に合格しました。家計が苦しいことから、国の入学援助貸付に申し込んだほか、両親が借金をしてまでも工面したわずかな生活費を持って入学しました。
貧しい農村から大都市の西安に来た潘さんは、学校の大きな図書館、真新しい体育館、明るい教室を見て、嬉しさを感じた反面、自分の貧しさを身にしみて感じました。中国の大学は、ほとんどが全寮制のため、潘さんも大学の寮で4人のルームメートと一緒に生活しています。ほかの3人はすべて都市部の出身で、家庭の経済状況も良く、潘さんは他の3人と比べて、生活面で大きな差がありました。ほかの学生が一回の食事にかける費用は、潘さんの一日の生活費よりも多いときがあります。これだけではなく、週末になると外食やショッピングを楽しむ友達が多いなか、潘さんは節約しなければ生活を保てない状態のため、他の学生と食事や、外出もできませんでした。潘さんは、次第に暗くなり、クラスメートたちも、潘さんのことを付き合いにくくて変わった子だと思うようになっていきました。
生活の難しさだけでなく、潘さんには、勉強の悩みもありました。農村から来た潘さんは、パソコンを使ったこともなく、英語の発音も正しくできません。コンピューターと英語の二つの科目に潘さんはとても困ってしまいました。勉強好きな潘さんは休日を返上してパソコンを繰り返し練習した努力が実り試験にパスすることができました。
このほか、毎日勉強を重ねた結果、ほかの科目の成績も前よりずいぶん上がり、以前から成績の優秀な潘さんは、より自信を持つようになったようです。
今では、潘さんの事情を理解したクラスメートは、それぞれ彼女をサポートしています。ルームメートの劉露さんは北京出身です。彼女の両親は、以前潘さんにたくさんの服を買ってくれたこともあります。しかし、潘さんはこの好意を簡単には受け入れません。彼女は「自分の力で生計を立てていかなければいけない」と自分に厳しく言い聞かせています。その後、潘さんは家庭教師のアルバイトを見つけ、自分で稼いだお金で生活できるようになったということです。
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