イラク周辺国家の外相会議が6日ヨルダンの首都・アンマンで開かれました。出席者は今月30日に行われる予定のイラク国民議会選挙を全力あげて支持し、イラクの内政に干渉しないと確約すると共に、イラクの前途と自国の運命を決める選挙に積極的に参加するようイラク国民に呼びかけました。

　そのため、専門家は「今回の外相会議の開催及び出席者の確約は間もなく行われるイラク国民議会選挙に良好な環境を作り出した」と見ています。

　今回の会議には、ヨルダン、クウェート、シリア、サウジアラビア、トルコ、イラク、エジプト、バーレーンの外相及びイランの外務次官のほか、国連事務局長イラク問題の特別代表・カジ氏が出席しました。

　会議は4時間にわたる討議を経て、閉幕までにイラクの主権、独立、領土保全と国家統一を尊重し、他国の内政不干渉という善隣友好の原則を遵守する「外相声明」を採択しました。声明はまた、イラク国民が安全や安定及び民主主義のルールによってその前途を決める自由な権利を有することを認めると同時に、こうした目標の達成に協力することを確約しました。この他、声明は「国連安保理の関連決議に基づいて、国連はイラクの復興で主導的な役割を発揮すべきである。イラク各派は最大の努力で自制を保ち、無辜な住民に対する武力行使と暴力手段の使用を避けるようにすべきである」と強調したあと、また「イラクの安定を実現するため、各関係者が効果的な措置を講じて、特にテロリストがイラク国内へ侵入することを防ぎ、その兵器と資金源を切断するため、イランと接する国境地帯での監視と管理を強化すべきである」としています。

　国連事務局長イラク問題の特別代表であるカジ氏は会議に先立ち、記者の質問に答えた際、「イラク国民議会選挙が成功裏に行われることに協力するのは、イランを含むすべてのイラク周辺国家の利益に合致する」との考えを示しました。

　ヨルダン及びスンニ派が主導的地位を占めているイラクの隣国は、シーア派が主導的地位を占めているイランがイラク国民選挙に影響を与えて、そして、イラクでシーア派による政教一体の政府が創設されることを懸念しています。ヨルダン国王・アブドラ2世はこのほど、記者のインタビューに答えた際、「イランがイラクに影響を与える目的には、イランとイラクの間、また、シリアとレバノンの間のシーア派地帯を作り出し、イランの勢力範囲を拡大することにある」と指摘しました。この指摘に対して、イランが敢然と否認した上、その態度を示すため、イランのハラジ外相は今回アンマンで開かれた外相会議に出席しなかったのです。

　外相会議のイラク国民議会選挙に対する支持及びイラク国民の選挙参加への呼びかけは、イラク国内で選挙が予定通りに行われるかどうかに関する論争に重要な影響を及ぼすことになると見られています。最近、イラク国内で新しく発生した襲撃や暗殺と誘拐事件で、国民議会選挙を引き伸ばす声が段段高まってきました。また、スンニ派の主要政党は選挙をボイコットするという態度を示しています。

　そのため、アンマン会議の結果はイラク国民議会選挙が予定通りに行われるかどうかに良好な外部環境を作り出すと同時に、イラク国内で選挙を支持する勢力にとっても有力な支えだといえます。