イラク駐在米軍が最近イラク中部のスンニ派が集まっている反米武装勢力の基地に対し大規模な軍事行動を実施した後、スンニ派の一部党派から選挙に反対し、または選挙を延期する声が高まってきました。スンニ派の最大政党であるイラク・イスラム党を始めとする8つの政党が連名で選挙を遅らせるよう要求したのに続き、今月26日には更に15の政党が共同声明を発表し、選挙を来年6月まで延ばすことを要求しました。15の政党の内、イラク北部のクルド系の2大政党などイラク臨時政府に参加している10の主流派政党があります。これらの政党は、イラク国内の不安定な情勢と頻発するテロ事件、それに政治面と技術面において臨時政府当局の準備がまだ不十分であることを考慮した上、選挙を延期すべきだと強調しています。

　15の党派の共同声明が発表された後、イラク人口の6割以上を占めるシーア派の宗教指導者が直ちに反応を示し、シーア派宗教当局のスポークスマンは26日に、シスタニ氏ら四人のシーア派指導者を代表して、「選挙延期は受け入れられない。日程通りに行うべきである」と反対しました。イラク独立選挙委員会のヒンダウィ委員長は27日に、「独立選挙委員会は15の党派が提出した選挙延期の要求を拒否した」と発表し、同日イラク臨時政府のスポークスマンも「臨時政府は日程どおりに議会選挙を行うことを確認した」と明らかにしました。イラク臨時国民議会も28日に、選挙延期に反対するという声明を発表しました。

　スンニ派が選挙延期を主張する主な理由は、米軍がイラクに駐留している限り、スンニ派に打撃を加える恐れがあり、イラク議会選挙が公正に行いかねることにあります。そのほか、スンニ派内部に反米情緒が高く、議会選挙に反対する人が多いことから、イラク臨時政府が動乱を治めることを理由で、スンニ派が集中している回教徒地区では住民の選挙参加を制限するかもしれません。一方、イラク人口の多数を占めるシーア派は日程どおりに議会選挙をすると主張しています。これは選挙を通じてイラク政権における主導的地位をいち早く確立しようとしているためです。イラク臨時政府が選挙延期に反対することも、イラク社会における統治能力と権威性を示すためで、現行政権の優位性を生かして議会選挙で最大な利益を求めたいためです。イラク国民議会選挙が日程通りに行うことは、イラク情勢が安定し、アメリカの対イラク政策が成功したことを内外に示すことになり、アメリカも選挙延期に反対しています。

　イラク議会選挙を日程どおりに行うため、米英連合軍はイラクに軍隊を増派し、イラク国内で反米武装勢力に対する軍事行動の規模を拡大し、イラクの安定した環境作りに力を入れています。イラク臨時政府は米英連合軍と連合して軍事行動を展開しながら、民族和解に力を集中し、人心の獲得を目指しています。