毎年3月の初め、日本の国会に当たる、中国の最高国家権力機関である全人代・全国人民代表大会は年次総会を開きます。　

　現行の憲法の規定に基づき、全国人民代表大会と地方の各クラスの人民代表大会は中国の国民が国家権力を行使する機関です。これは全人代制度の中核となるものです。

　蔡定剣博士は中国法政大学の教授で、長い間、中国人民代表会議制度の研究に携わっています。蔡定剣博士は記者のインタビューに答えた際「中国の人民代表会議制度は西側各国の議会制度にあたり、現代の民主的代議制の形式の一つでもある。人民代表大会は人民主権の原則に基づいて確立されたものだ。人民は国家の根本的権力を享受しており、人民代表大会と政府は人民によって選出され、人民はこうした方式を通じて、国家業務の管理に参与する。これは西側では議会主権と言うが、議会は国民を代表して国家権力を行使する。」と述べました。

　中国の人民代表大会と西側の議会との違いについて、蔡定剣博士は「重要な違いは組織原則が異なっていることだ。西側の政権組織の原則は行政、立法、司法が互いに制約することだが、中国の人民代表会議制度は民主的集中制の原則に基づいて確立されている。行政機関、裁判機関、検察機関は人民代表大会によって選出され、監督を受ける」と述べています。

　満18歳になった中国公民は人民代表の選挙と被選挙の権利を擁します。全国人民代表大会は各省、自治区、直轄市、軍隊で選出された代表からなります。各クラス人民代表会議では、郷、県の代表は直接的選挙によって選出されるが、それ以上の各クラスの代表は間接的な選挙によって生まれます。例えば、全国人民代表大会の代表は省クラスの人民代表の中から選出されます。

　全国人民代表大会の任期は5年で、毎年全体会議を開き、会議の時間は10日或いは１５日間で、国の比較的重要な問題が討議されます。

　これについて、蔡定剣博士は「会議の一般議事日程として、政府の活動報告、国家の経済計画や社会発展報告、国家予算報告を聴取するほか、最高人民検察院と最高人民法院及び、人民代表大会常務委員会は全人代にその活動を報告することになる。また、５年ごとに国家機構を組織し、国家指導者を選出する。もう一つの任務は憲法の修正や刑事、民事、経済、行政などの面に及ぶ最も重要な法律を含む国家の基本法律を制定することだ。」と述べています。

　蔡定剣博士は「大会の閉会期間中、全人代の常設機関である常務委員会は全人代から授与された職権を履行する。それに、憲法の解釈、憲法実施の監督、全人代によって制定された法律以外の法律の修正と制定を行い、その活動を全人代に報告することなどだ。現在、全人代には９つの委員会が設けられている。活動の範囲は法律、民族、財政経済、農業、科学、教育、文化、衛生、環境保全などに及んでおり、議案の審議や、質問及び、関係問題に対する調査、意見の提出、法律や決議案の起草の責任をになっている。」と述べました。

　今月の５日から１４日まで、北京で第10期全人代第2回会議が開かれますが、会議では、温家宝首相の政府活動報告、憲法修正草案が審議されるほか、政府自身の建設の強化、経済の持続かつ安定的な発展の維持、農民の収入増などの問題が討議の焦点となる見込みです。