中国の少数民族のお正月

 

 中国には55の少数民族が暮らしています。各民族には独自な民族習慣や伝統文化を持ち、そのお正月行事もさまざまです。

 例えば、草原で遊牧生活を送っているモンゴル族と平均海抜4000メートル以上の寒冷地域の高原で生活しているチベット族の習慣はだいぶ違います。中国西部のチベット高原は、平均海抜4000メートル以上にも及ぶ、世界でも最も標高の高い高原で、世界の屋根と呼ばれています。ここに住んでいるチベット族の人々はほとんど仏教を信仰し、たぶん仏教文化の影響を受けるでしょうか、チベット族の人々は楽しくのんびりとした生活にあこがれ、祝日がとても多い。世界でも最も祝日の多い民族だと呼ばれています。特に、チベット暦の正月は祝日が最も多く、最もにぎやか月です。この月はほとんど毎日が祝日です。でも、一番にぎやかな祝日は正月15日の「酥油灯祭り」です。

 

 酥油灯はチベット族の伝統的な明かりで、ヤクやヒツジの乳からつくったバターを灯油にした燈明です。この「酥油灯祭り」になりますと、昼間、人々はあちこちの仏教のお寺に参拝し、夜になると、街のいたるところにいろとりどりの花の棚を立て、高いものは3階建てのビルぐらい、低いものは2階建のビルぐらいに達します。上に酥油でつくった色とりどりの仙人、人物、鳥、動物と草花を並べ、高くて雄大であり、その上100を超える明かりの輝きが加わり、大通り全体がまばゆいほど美しくなり、輝きにみちます。この時のチベットの中心地・ラサは、人出が多く、とてもにぎやかです。

 

 モンゴル族のお正月の支度は冬至の前から始めて、みんな部屋の大掃除をし、晴れ着を縫い、新しい用具を買いそろえます。大晦日の夕方、部屋の中では、あかりがきらきら輝き、外には爆竹の音が鳴りひびき、家族が肉と酒、正月の料理を並べた机を囲み、食卓の正面に祖先の位牌(いはい)を供えます。これはお正月の祖先との団らんをあらわす意味です。そして、家族そろってのお祝いの宴が始まり、子供達が親や年輩者にお酒を捧げ、楽しく話し合いながら飲んだり、食べたり、あるいは歌ったり、踊ったりして夜をあかします。中国北方地方に暮らしているダフール族ではお正月の日に年輩者が子供に牛乳をあげることで祝福の意を表します。

 ダフール族の人々はお正月の朝、老若男女問わず、晴着を身にまとい、年長者に跪(ひざまず)き、礼拝しながら酒を捧げて、健康と幸福をお祝いします。一方、年輩者は茶碗一杯に牛乳をつぎ、子供達が真っ白な牛乳のように心が純潔で、願い事がかなうようになるのを祈ります。(中国国際放送局)