中国中央政府は貿易取引での人民元建て決済を中国全土に広めています。専門家は「これは企業の需要を満たし、貿易と投資の利便化をさらに促す。また人民元の国際化にとって積極的な意義がある」と見ています。
このほど、中国中央銀行と財政相などの関係部門は共同で「越境貿易における人民元建て決済地区の拡大に関する通達」を発表しました。それによりますとチベット自治区や新疆ウイグル自治区などの中西部の省と区の企業は、貨物輸出における人民元建て決済業務の海外適用地域の範囲を世界の全ての国と地域に拡大することを明確にしました。これについて、中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は 、「まずは、どんな通貨で価格を計算し、支払い、決済するかということで、企業にはより多くの選択肢が与えられた。中国の企業であっても、貿易相手国の企業であっても、もともとの通貨に加え、人民元という選択肢が増えた。また、人民元が比較的に安定してる状況の下、人民元で価格を計算し、決済すれば、リスクが下がるだろう。そして、ほかの通貨に比べ、人民元は上昇段階にあるため、それに伴うメリットが得られる」と述べました。
2009年、中国国務院の批准によって、上海や広東省の広州、深セン、珠海と東莞の4都市で貿易取引での人民元建て決済が試行されましたが、その海外の適用範囲は香港とマカオの特別行政区、及びASEAN・東南アジア諸国連合に限られていました。2010年、試行範囲はまた、北京、内蒙古、広西チワン族自治区、海南、チベットなど18の省と区に拡大すると共に、海外適用範囲も全ての国と地域にまで拡大しました。その後、貿易取引での人民元建て決済は順調に進み、人民元で決済する企業と銀行は増える傾向にあります。2010年、中国での人民元建て決済は5100億元(約6兆1300億円)に達しました。
より多くの企業が貿易取引で人民元建て決済を使用するかどうかの重要な要素の一つは人民元の還元と投資ルートの提供です。趙錫軍副院長は、「関係国との通貨交換の協定はすでに結ばれた。中国は相手国に人民元を、相手国は中国に自国の通貨、或いはほかの通貨を提供することができる。これは政府によるルートであり、このほか民間的ルートをも考えなければならない。貿易相手国の企業と個人が所有する人民元をどのように使うのか?このような民間的ルートがあってこそ、この市場は発展していくことができる」と語りました。
現在、人民元の国際化プロセスは安定して進められています。海外貿易での人民元建て決済が全国に拡大したことは、人民元が国際化の重要な一歩を踏み出したこと意味しています。これについて、趙錫軍副院長は、「国境を跨いだ人民元建て決済が全国に拡大したことは、国際貿易で人民元を使う意欲のある企業にとって有利だ。また、人民元の国際貿易での使用範囲と規模も拡大されたため、積極的な意義がある」と強調しました。
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