中国国防省の報道官はこのほど、上海協力機構が9月9日から25日まで、カザフスタンで、「平和使命―2010」と名づけられた合同軍事演習を行うと発表しました。これらは中国、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタンからの5カ国5000人の士官が参加します。演習は、域内でのテロリズムによる危機発生を背景に、指揮、協調、保障、行動方法などを行います。今回の合同軍事演習について、アナリストは「中央アジアの治安情勢が日増しに複雑になるにつれて、テロリズム、分裂主義、過激主義といった三つの勢力を対象にした軍事演習もますます実戦状態に近づいている」と分析しています。
今回の反テロ合同軍事演習に、中国からは陸軍、空軍など1000人の兵士が参加し、タンカー、戦車、装甲輸送車、戦闘機、武装ヘリコプターなどが用いられます。
今回の特徴について、軍事専門家の尹卓少将は「より実戦に近い形だ。中国が派遣した士官は、いままで各軍隊のエリートを選んだが、今回は現有の編成の士官らだ。装備も現役で使われているもので、全国の軍隊で装備されている」と紹介しました。
ここ数年、中央アジアではテロリズム、分裂主義、過激主義といった三つの勢力の活動が活発になり、爆発、拉致、動乱などが起こっています。中国にとっては、西部の新疆ウイグル自治区はこの地域の各国と隣接しており、治安が大きな問題となっています。一方、中央アジアの新興国は反テロの上で、技術にしても経済にしてもまだ弱く、国際的な協力が必要です。
いままで、上海協力機構は「三つの勢力」、特にテロリズムを取り締まるため、数回にわたって2国間または多国間の軍事演習を行っていました。これについて中国人民大学国際関係学院の金燦栄教授は「毎回演習の規模は、実際状況を踏まえて定めている。それは、『三つの勢力』からの脅威がそれぞれ違うからだ。対応する手段、武力の性質、規模も異なるはずで、それぞれの脅威にあわせた演習を行う」との見解を示しました。
ここ数年、域内の軍事演習はますます国際社会から注目を集め、懸念する声も上がっています。これについて王海運少将は「上海協力機構の憲章は、同盟を結ばず、対抗せず、第三国を対象にせずといった方針を決めた。合同軍事演習は域内の安定を維持するためで、テロリズム発生を想定して行うものだ」と強調しました。
今回の軍事演習の場所は、「三つの勢力」の活動範囲にあわせて、山間部や平地などで行う予定です。(朱丹陽)
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