北魏墓の発掘資料公表、貴重な芸術品が多数出土=山西省

2023-05-10 13:02:07  CRI

 中国中部に位置する山西省の考古研究院は9日、同省万栄県賈村郷西思雅村にある北魏時代(386~534年)のものとされる墓の発掘資料を公表しました。同墓には、大規模なレンガ造りの墓室があり、埋葬具に使われた石棺には精巧なライン彫刻が施されているほか、大量の陶製人形や陶器、銅器なども出土しており、中古時代の墓葬芸術および美術史の研究に貴重な実物資料を提供しています。 

△墓の全景 

 同墓は西思雅村の中心部から北に約300メートのところにあり、黄河東岸、汾河以南、孤峰山西麓に位置しています。長い斜面の墓道につながる四角い形をした一部屋のレンガ造りの墓室は、現在の河南省洛陽を都としていた北魏洛陽時代に流行した貴族墓の型式となっています。そこから陶製人形や陶製動物俑、副葬品、陶器、銅器などを含む器物300点(セット)余りが出土しました。 

△陶製の文官俑 

△陶製の踊り人形俑 

 同墓からはほかにも、墓誌が1点出土し、その上には662字が刻まれていて、墓の主の身元が明らかになりました。墓誌の記載によりますと、墓の主は北魏の汾州刺史だった薛懐吉で、正光4年(523年)に死去しました。薛一族は、中古時代の黄河東岸で暮らしていた豪族です。薛懐吉は、北魏の孝文・宣武・孝明帝期の人物で、薛一族の北魏時代における重要な政治家の一人だったということです。 

 薛懐吉墓は、これまでに黄河以東で発掘された北朝(439~581年までの中国の華北を中心とした王朝の総称)時代の墓の中で、規模が最も大きく、等級が最も高く、副葬品が最も豊富なものです。出土した墓誌蓋および石棺に残されたペトログリフ(線刻)は、多様な題材と豊富な内容、明確な背景を持ち、中古時代の墓葬芸術および美術史の研究に貴重な実物資料を提供しています。(ZHL、柳川) 

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