北京
PM2.577
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中国人民政治協商会議全国委員会の委員には、さまざまな分野で活躍する専門家が大勢います。委員一人ひとりが持つ意見や関心を、ピックアップしてご紹介します。
今回取り上げるのは、教育分野の委員として出席している史家教育グループの総校長・王歓委員(60歳)です。
王委員は北京第一師範学校を卒業後、小学校の国語教師になりました。やがて、一教師から名門校・史家小学校の校長に、さらに史家教育グループの総校長となり、これまでの40年の間、教育現場を離れたことはありませんでした。
今から8年前、同じエリアにある小学校の教育レベルの均衡化を目指して、史家小学校をはじめ、七条小学校、遂安伯小学校など5校の小学校からなる史家教育グループが設立されました。王委員はグループの総校長を務めることになってから、教育の質の向上についてより深く考えるようになりました。
教育の均衡化に向けて、グループ内での教師の学校間移動を行い、すべての生徒が優秀な教師から教われるよう均等に機会を与えつつ、教師の質の向上にも取り組みました。
また、生徒の学習負担が軽減されていることを背景に、博物館教科を設けました。これは、国家博物館のほか、古代の貨幣、陶器、自動車などの博物館と連携し、生徒が各館へ足を運んで、展示物を鑑賞しながら授業を受けるというものです。さらに、外国の小学校との交流を盛んに行い、異文化教育にも力を入れました。
王委員はこうした実践の中から経験や意見などをまとめ、これまで教師の育成や移動、生徒の学習負担軽減に関する社会的なサポートなどについて、数多くの提案を出してきました。そのうち、博物館教育や家庭教育、生徒の心身の健全な成長などの内容が教育部の目に止まりました。より詳しい意見を聞きたいということで、教育部の担当者が学校にも訪問したそうです。特に、「生徒の心のケアはまず親が心がけるべき」とする内容については、去年「家庭教育促進法」にも取り入れられました。このように提案を積極的に取り入れてもらえることは、「一教育者としてたいへん励まされる」と王委員は語ります。
今年の提案では、生徒に中国の伝統文化をより深く理解してもらい、社会的責任とグローバルを育てるために、カリキュラムの革新などを呼びかけました。(取材:王秀閣 校正:梅田謙)