北京
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全国人民代表大会(全人代)の代表を務める中国科学院院士、中国の重力波探査計画「天琴計画」首席科学者の羅俊氏は全人代期間中のインタビューで、「中山大学(中国南部の広東省広州市)が開発した実験衛星『天琴1号』はこのほど、重力場のデータを得た。中国が自主開発した衛星を通じて重力場を測定したのはこれが初めてだ。中国は米国とドイツに次いで、重力場を自主探査できる世界3番目の国となった」と明らかにしました。
羅氏によりますと、2020年8月7日、「天琴1号」は約30時間にわたって、重力場応用実験を行いました。期間中、「天琴1号」の中核となる全世界測位システム(GNSS)のレシーバーと慣性センサーが同時に稼働したため、世界範囲のカバーが実現しました。得たデータに対し、中山大学と華中科技大学(中国中部の湖北省武漢市)の「天琴計画」研究チームは繰り返し分析・論証・計算を行い、地球重力場モデル、宇宙重力異常グリッドマップなどを完成し、最近、重力場データをめぐる報告書を作り、軌道上試験評価を終えたということです。
また、中国科学院の孫和平院士は試験の結果を実証し、「『天琴1号』は既定の技術試験を終えた上で予想以上の目標を達成できた。これは中国にとって初めての自主的な宇宙重力場の測定であり、『天琴1号』が中国初の重力場測量機能のある衛星だということを意味する」と指摘しました。
重力場データは国の発展と国民生活に重要な戦略的意義があります。それは地球測量、地球・物理、油田ガス資源の探査、国防・安全分野に応用できるため、気候変動、自然災害など人類がともに直面している問題の解決にプラスとなり、戦略的な価値を持つ基礎データだとみられます。
「天琴計画」は羅院士が2014年に提出した中国の自主的な重力波探査計画で、その中の「地心軌道プラン」は国際上、重力波探査の「中国プラン」とも呼ばれています。(殷、野谷)
「天琴1号」のインバージョン解析による重力異常図(左)とジオイド高写真(右)