北京
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中国人民政治協商会議全国委員会の委員には、さまざまな分野で活躍する専門家が大勢います。委員一人ひとりが持つ意見や関心を、ピックアップしてご紹介します。
今回取り上げるのは、中国農工民主党の党員で、バイオテクノロジー企業・天津強微特生物科技有限公司の社長である、鄭春陽委員(46歳)です。
鄭委員は北京大学を卒業後、アメリカに留学して生物学の博士号を取得。その後、現地の企業に就職してバイオテクノロジーの専門家となりました。
やがて中国の発展に伴い、海外にいた人材が国内に戻り始めたころ、彼も12年間のアメリカ滞在を終えて中国に帰国しました。
2010年頃の中国市場は、日用品から工業品まで、ハイエンド商品のほとんどが海外ブランドでした。国内にコア技術が不足していたためです。それはバイオ産業も同様でした。彼は専門分野と経験を生かして、帰国後、天津に天津強微特生物科技有限公司を設立しました。同社はそれから12年で、酵素製剤の製造、ハイエンド化粧品原料の供給、さらに自社オリジナルの化粧品の生産・販売を行うまでに至りました。
鄭委員はこれまで、研究者として、また企業家として、バイオ技術産業の減税問題や化粧品産業の技術向上などについての提案を行ってきました。
2021年の提案ではまず、化粧品原料の許可制度の改革や種類の拡大を求めました。中国では長らく、化粧品への使用が許可された原料はわずか8000種類ほどで、欧米諸国で認められている2万種類以上とは大きな差がありました。そのため、鄭委員は国産品の競争力向上のために、原料の種類拡充が必要と考えたのです。この提案には国家薬品監督管理局からの回答があり、2021年4月に「使用が認められた化粧品原料リスト」が改正され、原料の種類は9000種類近くにまで増えました。
去年はその他にも原料分野でのイノベーションや、化粧品業界の環境保護管理監督政策 の見直しなどを提案として呼びかけました。また、企業家として人材の重要性に着眼して提出した「グローバルな視点からの人的資源戦略の制定」という提案は、去年5000件近くあった提案の中から、60件の「優秀提案」の一つに選ばれました。
そして今年は「国産化粧品ブランドの質の高い発展」について提案しています。これについて鄭委員は、「国産ブランドの確立は企業の競争力だけでなく、国の経済力や影響力、さらには伝統文化の継承と発揚にもつながる」との考えを示しています。(取材:王秀閣 校正:梅田謙)