「嫦娥5号」の採取サンプルに関する最新研究成果が発表

2022-12-14 15:49:55  CRI

写真:月面に降り注いだ太陽表面からの高速水素イオンは、月面表層土の粒子の表層に豊富に残る

 中国科学院国家宇宙科学センターと地質・地球物理研究所の共同チームは、月探査機「嫦娥5号」が2020年末に月面から持ち帰った1731グラムの土壌サンプルについて実験と研究を行ってきました。その最新成果が13日、国際的に権威ある学術誌の『米国科学アカデミー紀要』に掲載されました。

 中国の最新の研究によりますと、月面の中緯度エリアにおいて太陽風の月面表層土の粒子に衝突した際に発生する水分はこれまで考えられていたよりも多く、月の高緯度エリアには資源としての価値がある水が大量に存在する可能性があることが示されました。 

 この研究を率いた林楊挺研究員によりますと、研究で言及される「水」は通常の水ではなく、鉱物の構造に水分子が組み込まれた形で存在し、通常は水素の量で水の量を示します。

 研究チームは「嫦娥5号」の月面サンプル2点から、ケイ酸塩鉱物(かんらん石、輝石、長石)とガラスなどの17個の月面表層土の粒子を選び、ナノスケール二次イオン質量分析計(NanoSIMS)を使い、さらに最新の超高空間分解能の断面分析技術を用いて水素含有量と同位体の実験と分析を実施しました。その結果、「嫦娥5号」のサンプルの粒子の最表層から0.1マイクロメートルの部分の水分量が0.7%に達していることが判明しました。研究者らは、水素と水素の同位体である重水素の比率の分析により、これらの水分は太陽風によって高速で月面に降り注がれたことに起因することを証明しました。

 研究チームは再加熱実験の分析結果に基づき、異なる温度における月面表層土の粒子中の水素の保存について数値シミュレーションを実施したところ、太陽風に起因する水分が月面の中・高緯度地域で比較的良好に保存されることが示されました。(RYU、鈴木)

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