中国国家文物局、殷墟に関する考古学と甲骨文字研究の最新成果を発表

2022-11-11 12:33:56  CRI

 中国国家文物局は10日北京で記者発表会を開き、殷墟に関する考古学および甲骨文字の研究に関する進展状況と最新の成果について報告しました。 

 殷墟は河南省安陽市に位置する、殷王朝(約紀元前1600〜約紀元前1046年)末期の都の遺跡です。中国の考古学者による殷墟に対する科学的な発掘調査は1928年に始まりました。この90年あまりの間、殷墟では宗廟宮殿エリアや、居住エリア、帝王陵墓エリア、墳墓エリア、手工業工房エリアなどの重要な遺跡が次々と発見されました。また、殷墟に隣接する殷中期の都である洹北商城では、大量の甲骨文字、青銅器、陶器、玉石器など各種の貴重な文化財が出土しました。これらは文献に記載された殷王朝の歴史を実証し、殷の社会のありさまと文明の発展度合いを体系的に示しています。殷墟は2006年に世界文化遺産に指定されました。

 今回新たに発表されたのは、辛店遺跡、陶家営遺跡、邵家棚遺跡に関する最新の考古学的成果です。

 辛店遺跡は殷墟宮殿エリアの約10キロ北に位置する青銅器鋳造現場の遺跡です。ここで出土した青銅器には「戈」という文字の銘文があり、「戈」一族が管理していた青銅器鋳造現場の遺跡である可能性があるとされています。

△辛店遺跡で大量の青銅器が出土 

 陶家営遺跡は殷墟宮殿エリアの約7.2キロ北に位置しています。ここでは陶器の生産エリア、居住エリア、墳墓エリアが発見されており、古墳からは青銅器、玉器、陶器が大量に出土し、殷中期の洹北商城周辺の集落社会の研究資料を提供しています。 

△陶家営から出土した陶器 

 邵家棚遺跡は殷墟宮殿エリアの約2.5キロ南に位置する殷末期の集落遺跡です。ここでは18の家屋跡が織り成す、複数の中庭を持つ3組の大規模住宅が発見され、古墳からは「冊」の銘文が刻まれた青銅器が多数出土したことから、邵家棚遺跡が殷末期の史官(書記官)「冊」一族の居住地であった可能性を示しています。 

△邵家棚遺跡から出土した青銅器 

 甲骨文字は中国古代の成熟した漢字の体系を代表する字体であり、殷墟がかつて殷の都として栄えていたことを実証しています。甲骨文字は清末期に河南省安陽の小屯村で出土し、これまでに約15万片が発見されました。そのうち、科学的に発掘されたものは3万5000片余りで、確認された文字数はすでに4000字を超えており、その内容は殷の政治や生活のさまざまな面に関連しており、殷の信頼できる歴史を復刻する直接的な史料になっています。殷墟の甲骨文字は古代史の記録に記された殷王朝の存在および安陽小屯が殷王朝の宮廷であったことを直接実証するものであり、中国の信頼できる歴史を1000年余りさかのぼらせました。 

△殷墟で出土した甲骨文字 

 甲骨文字で記載された日食と月食の資料を解読し、天文学的なデータと結び付けて推論した結果、紀元前1161年10月31日に発生した「乙巳」日食が考証され、殷の人々がすでに日食・月食の周期を把握していたことが証明されました。(ZHL、坂下)

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