「中国式現代化」は多様な価値観に基づく多極秩序=ジャーナリスト・岡田充氏

2022-10-21 11:05:44  CRI

 北京で開催中の中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)をめぐり、ジャーナリストで元共同通信客員論説委員の岡田充氏は20日、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビューに応じました。岡田氏は「中国の影響力の源は経済にある」と分析し、「『中国式現代化』は多様な価値観に基づく多極秩序だ」との見解を示しています。


 元共同通信客員論説委員の岡田充氏

 これまでの10年、中国の1人当たりGDPは3万9800元(約80万円)から8万1000元(約160万円)へと倍増し、2020年までに全人口の貧困脱却を実現したと宣言しました。岡田氏はこれについて、「世界銀行の発表によると、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、2020年に世界で新たに1億1900万人から1億2400万人が極度の貧困(1日1.90ドル未満で生活する状態)に陥っている。そうした中で、14億の人口大国が貧困脱却の難関を突破し、小康社会(いくらかゆとりのある社会)を全面的に実現した。これは容易なことではない」と評価しています。

 また、世界における中国の立ち位置について、岡田氏は日本の外務省が今年5月に発表した調査結果を引用し、「東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が考える今後重要なパートナー国」の項目では中国が48%の支持を受けて1位に躍進していることを踏まえ、「中国の国際的影響力が著しく向上したのは明らかだ」との見方を示しました。岡田氏は、こうした結果を導いた原因については、中国のGDPが世界経済に占めるシェアが1988年のわずか2%から、2021年には18%に達したことに着眼し、「影響力拡大の源は経済にあり、日本メディアがよく強調する『軍事』にはない」と強調しています。

 党大会報告に出てきた「中国式現代化」については、「米国中心の世界秩序が動揺する中で、習近平総書記はこの概念を強調して、『人類が直面する共通課題の解決に向け、中国の知恵、中国の案、中国の力を提供する』と指摘した。中国は地球温暖化やパンデミックなど、世界的課題を前に『人類運命共同体』の理念を掲げ、グローバルな協力を提唱している」と注目し、「時宜に適った主張だ。世界的課題に取り組むには多国間協力が欠かせない」とポジティブに評価しています。そして、欧米メディアによる「中国的価値観の陣営を構築する考え」という報道姿勢については「過大評価」と否定する見方を示し、「中国が主張しているのは、欧米価値観に基づく一極秩序ではなく、多様な価値観に基づく多極秩序だ」と切り込みました。

 岡田氏はまた、「社会主義現代化強国の全面的完成」という二つ目の百年奮闘目標に向かってまい進している中国に対し、「引き続き共同富裕政策の推進、分配制度の改善、機会の公平性の促進など国民生活の質的向上に向け、成果を出してほしい」と期待を寄せました。

(記事:王小燕、校正:梅田謙)

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