私考=「春節」の習慣


 中国では旧暦の新年である「春節」を過ごします。その過ごし方にも古くから受け継がれたさまざまな習慣があります。たとえば、私の実家では大晦日の日に「餃子」を必ず食べます。日本の「年越し蕎麦」ならぬ、「年越し餃子」といった感じでしょうか。また、新年の気分を盛り上げるために、除夜の鐘ではなく、「除夜の爆竹」が鳴り響きます。もう1つ、北京の「春節」に欠かせないものとして、廟会(縁日)があります。毎年、年末になると、北京のさまざまな場所に廟会(縁日)の露店が出されるため、多くの人が生活必需品やほしいものを買いに訪れます。

 「春節」の日にちは旧暦で数えるため、毎年、日付が異なります。今年の「春節」は少し特別で、元日が2月14日のバレンタインデーと偶然にも重なりました。「春節」とバレンタインが重なるなんて、めったにあることではありません。

 一口に中国と言っても、春節の過ごし方は地域によって様々です。私は日本にいる時、「中国では新年に餃子を食べるんでしょ」と日本の友人に聞かれたことがあるのですが、そうとは限りません。中国の南方と北方の習慣には大きな違いがあります。私は中国の北方出身なので、北方の過ごし方の1例として、私の実家の習慣をご紹介したいと思います。
 
 大晦日の夜、家族全員が揃って、ギョーザを食べます。「ギョーザは福を包んでいる」とお祖母さんから聞いたことがあるのですが、餃子の餡の中にコインや飴などの縁起物を詰めることもありました。そのため、幼い頃は、コインや飴などが入っている餃子を探し当てようと、餃子を必死になって食べたことを今でも鮮明に覚えています。

 そして、大晦日の日や元日に、爆竹や花火を打ち上げます。爆竹、花火には色付きのものや、ドラゴン(噴出)花火、子供向けの手持ち花火など多くの種類があり、子供から大人まで楽しめるようになっています。ここ数年は、安全面の配慮から、市内では規制が設けられていますが、縁起物であるため、賑やかな爆竹の音は今も健在です。家々で鳴らされる爆竹の音が町中に響き渡り、新年の気分を盛り上げます。

 家や血のつながりを重んじる中国人にとって、「春節」を家族みんなで過ごすことは非常に重要です。海外にいて帰国できなかった場合や仕事のために帰省できなかった場合でも、家に電話を入れて、新年の挨拶を交わします。ちなみに、大晦日の深夜12時は電話が最もつながりにくい時間帯です。また、ここ数年は、友達や同僚に携帯で年賀メールを送るという方法が広まっています。

 春節の習慣は古くから受け継がれてきたものです。かつて、人々は貧しく、餃子を口にできるのは春節の時のみでした。一年間、苦労したことに対するご褒美だったわけです。しかし、人々の生活が豊かになった現在では、餃子はいつでも口にできるものとなりました。今の人々にとってご褒美足りえるものではありません。このように、今では、多くの習慣が実質的な意味から離れ、単なる象徴となっています。(文責:王帥)