【北京冬季五輪 注目の選手④】フリースタイルスキー・谷愛凌

2022-01-29 17:26CRI

 第24回オリンピック冬季競技大会は2022年2月4日から20日まで、第13回パラリンピック冬季競技大会は3月4日から13日までの日程で、北京市、延慶区と河北省張家口市の3つのエリアを舞台にそれぞれ開催されます。このコーナーでは、冬季オリンピックとパラリンピックの注目の中国人選手をご紹介します。

自身初の冬季五輪、楽しみは“餃子”?

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資料写真(新華社提供)

谷愛凌(こくあいりょう、中国読み:グーアイリン、英語名:Eileen Gu

2003年 米サンフランシスコに生まれる
2019年 イタリアで行われたW杯で優勝 世界ランキング1位
2019年 国籍を中国籍に変える
2019年8月 ニュージーランド開催のスロープスタイル大会で優勝 中国籍へ変更後の初タイトル
2020年1月 スイスで開催されたユースオリンピックでハーフパイプとビッグエアの2種目で優勝
2021年3月 自身初の世界選手権となる米アスペン大会のハーフパイプで中国人初の優勝を果たす
2021年12月 米国で行われたビッグエアのW杯でダブルコーク1440に成功 試合の中でこの技に成功した世界初の女子選手に

出場種目:フリースタイルスキーのハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエア

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2020年1月のユースオリンピック ビッグエアで優勝した谷愛凌さん(新華社提供)

スキーとの出会いは生後2カ月?

 谷愛凌さんは2003年、米サンフランシスコで生まれました。父親は米国人、母親は中国・北京出身のスキーインストラクターでした。谷さんが最初にスキー場に行ったのは生まれてわずか2カ月の頃、母親に連れていかれました。3歳の時、スキーにますます興味を持つようになった娘を母親が指導し始めたところ、彼女のスキーの習得がとても早いことに気づきます。普通の子供が1カ月、2カ月かかってようやく身につける技を、娘は数時間だけで十分こなせるようになっていました。そして、4歳の時にはすでに自由自在に雪山を滑れるようになりました。

8歳でプロチーム入り

 母親は娘がほかの上手な子供たちと一緒に滑れるように、8歳になった谷さんを現地のスキークラブに連れていきました。そのクラブの責任者は、谷さんの滑りを見て、プロチームにも入れるレベルだと評価しました。しかし、母親はプロチームの練習が大変で、勉強にも影響するため、行ってほしくありませんでしたが、スキーが好きで好きでたまらない娘を見て、「学校の勉強もちゃんとしてね」と言って認めてあげました。

 そして、現地のプロチーム入りした谷さんは9歳の時、米国で行われた青少年向けの大会で優勝。13歳から米国国内や海外で行われる大人向けの大会に出るようになり、14歳までにさまざまな大会で金メダルを合わせて50個も獲得しました。15歳の時には、イタリアで行われたW杯で優勝し、国際スキー連盟による選手ランキングの1位にも躍り出る世界的な実力選手に成長しました。

米国籍から中国籍へ

 ある日、谷さんは一つの決断をしました。それは国籍を変えること。実は、谷さんは2歳の時から毎年、母親の実家、北京に遊びに戻っていました。小さい時から中国語、厳密に言えば北京語をペラペラと話すことができますが、見た目は西洋人だったため、北京の子供と遊ぶときには、よく「あなたは外国人なの?」と聞かれていたそうです。その際、谷さんはいつも「私は中国人だよ」と答えていました。2015年、北京にいた谷さんは、冬季オリンピック招致成功を決めた瞬間をテレビで見ました。その時に、将来中国を代表して北京冬季オリンピックに参加したいという夢を抱きました。それから4年後の2019年6月、彼女は米国籍を放棄し、中国籍になったことを発表しました。

国際大会で見せる圧倒的な強さ

 2019年8月、ニュージーランドで行われたフリースタイルスキー・スロープスタイルの大会で優勝し、中国籍になってからの初タイトルとなりました。

 2020年1月、スイスのローザンヌで開催されたユースオリンピックのフリースタイルスキーでは、ハーフパイプとビッグエアの2種目で優勝し、スロープスタイルで2位を獲得。

 2021年1月、米国アスペンで開催された世界最大のエクストリームスポーツイベント「X GAMES」で、フリースタイルスキーのスロープスタイルとスーパーパイプで優勝、ビッグエアで3位を獲得しました。

 同年3月、自身初の世界選手権となる、米国アスペンで開催された世界選手権では、右手を骨折したままでハーフパイプで中国人初の優勝を果たしました。その後、スロープスタイルで優勝、ビッグエアで3位となりましたが、手の手術を受けて休養に入りました。

 同年11月、オーストリアでの練習で、世界中の女子選手の中で初めてダブルコーク1440(縦2回転、横4回転)という高難度の技を成功させました。そして、12月に米国で行われたビッグエアのW杯でもこの技を披露し、試合の中でこの技に成功した世界初の女子選手となりました。

 2021年12月5日から2022年1月11日までの約1カ月の間に行われた複数の大会で金6個、銀2個、銅1個を獲得し、ハーフパイプの今季の総合優勝に輝きました。

名門校出身の両親を持つ“超”優等生、自身も名門校へ

 実は、谷さんは大の勉強家でもあります。父親は米ハーバード大学、母親は北京大学、米スタンフォード大学の出身。そんな遺伝子を受け継いだからか、小さい時から勉強熱心でした。子供のとき、月曜日から金曜日までは学校で勉強し、土日は母親が車を運転して片道4時間をかけて連れていき、山間部で行われる練習に参加しました。練習に専念できるように、車に乗っている時間は寝るか宿題をやるか、いつも効率よく使っていました。

 また、北京冬季オリンピックへの準備に影響しないように、学校側から了承を得たうえで、隙間時間を利用して猛勉強し、高校3年間の授業を1年間で済ませ、単位を取得して早期卒業しました。2020年、米国の大学進学適性試験(SAT)では、1600点満点中1580点(世界中の受験生の上位0.2%以内)でスタンフォード大学に合格。北京冬季オリンピックに集中するためにスタンフォード大学への入学を1年先送りにしています。

実に幅広い趣味の数々

 谷さんの生活は、スキーと勉強だけではありません。彼女の趣味を見てみると、トレイルランニング、サッカー、バスケットボール、アーチェリー、乗馬、ロッククライミング、木登り、グルメ探し・・・実に豊富で多彩。また、普段はモデルとしても活動していて、中国や海外のファッション誌の表紙を飾ったことが何度もあります。

北京冬季五輪の楽しみは?

 そんな谷愛凌さんは、自身初のオリンピックとなる北京冬季オリンピックをとても楽しみにしているようです。

 「私にとってスキーをやること自体、大きな楽しみです。北京冬季オリンピックでは3種目に出ますが、それはつまり少なくとも3回、スキーを楽しむチャンスがあるということですね。スキーをやる機会は多ければ多いほどうれしい。それから、選手村の食堂で大好きな餃子(水餃子)を食べることを楽しみにしています。美味しい餃子を外国の選手たちにも薦めたい」(谷愛凌さん)

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モデル活動時の谷愛凌さん(谷愛凌さんのSNSより)

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