【観察眼】白鶴灘水力発電所が稼働開始 脱炭素社会に向け確かな一歩

2021-07-05 13:30CRI

 水害を取り除き、水利を振興させることは中国人が昔から求めてきたものである。北京と杭州を結ぶ京杭大運河から四川省の都江堰まで、二タン水力発電所から三峡ダムまで、これはいずれも世界に名を馳せる水利施設だ。直近の動きでは、青海・チベット高原と雲南・貴州高原をまたぐ長江上流の金沙江で新たに稼働開始した水力発電所により、「高峡平湖」という景観が再現され、1基あたり出力が100万キロワット級に上る発電ユニットは、「水力発電のチョモランマ」と呼ばれている。

 6月28日、中国の国有発電大手、中国長江三峡集団傘下の白鶴灘水力発電所が本格的に稼働を始めた。据え付けられた発電ユニットは中国が自主的に開発・製造したもので、1基あたりの出力が世界最大規模の100万キロワットに上る。1600万キロワットの総出力は、三峡ダム(2250万キロワット)に次ぐ中国2位となる。総投資規模は3000億元(約5兆円)を超える。中国は電力供給の拡大と同時に、脱炭素社会への移行に向けまたも確かな一歩を踏み出したと言える。

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 白鶴灘水力発電所は中国南西部を流れる金沙江流域に位置し、四川省と雲南省をまたぐ地域に建設された。2017年に本体工事を始め、2022年7月にフル稼働する予定。フル稼働した後、内陸部と沿海部を結ぶ効率の良い送電網を通して、工場が集積して電力需要の大きい沿海部の浙江省や江蘇省など長江デルタ地帯への送電を予定している。発電や洪水防止、水上輸送、環境保全など総合的な役割を果たす国家戦略プロジェクトでもある。

 ここ数日、白鶴灘水力発電所の本格稼働に関するニュースは国内から注目されている。その理由は三つある。一つ目は、その大きさにある。白鶴灘ダムの大きさはギザの大ピラミッドの3倍を超えている。二つ目は耐震問題など6つの面で世界的な技術の難関を抱えたことだった。これらの技術的難関を全部突破したと同時に、世界一の技術的な指標を作り出した。これに対して、長江三峡集団白鶴灘工事部の周孟夏エンジニアは「多くの項目で技術イノベーションを行った結果、『ダムの亀裂』という世界的な難題を解決した。今、ダム内部に、数万個の温度や変形、圧力への対応状態などを感知できるセンサーが設置されており、ダムの状態をリアルタイムで把握できる」と説明した。第三は、白鶴灘水力発電所には、中国が自主的に設計、製造し、出力が100万キロワット級に上る発電ユニットを16基設置する予定である。この発電ユニットは中国がハイエンド設備製造で収めた重要なブレークスルーである。出力が100万キロワット級の発電ユニットの研究開発は現在、世界で稼働中のいかなる発電ユニットよりも難しく、水力発電業界の「チョモランマ」と呼ばれているほどである。その稼働成功は今後、水力発電業界の発展を大いに推進していくだろうと見られている。

 中国は2060年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。白鶴灘水力発電所の稼働により、標準炭換算で年間1968万トンの節約ができるほか、CO2が5160万トン、SO2が17万トンの排出がそれぞれ削減できる見込みだ。稼働開始したばかりの白鶴灘水力発電所は今後、三峡ダムや現在長江の上流域で建設中の水力発電所群とともに世界最大のクリーンエネルギー回廊になると見込まれている。(日本語部論説員)