ウクライナ東部国境で緊迫した情勢が続く中、アメリカ国防総省は9日、米軍のミサイル駆逐艦1隻が10日に黒海入りし、合同軍事演習に参加することを明らかにしました。

　アメリカ国防総省の報道官はこの日、「イジース」防空システムとトマホーク（ミサイル）システムを搭載したドナルド・クック（ミサイル）駆逐艦が黒海入りしたのは、北大西洋条約機構（NATO）と黒海地域のパートナーに、アメリカが地域安全を維持するという意向を示すものだとしました。また、戦闘力と共同作戦の能力を高め、関連パートナーとの防衛関係を強化するために、この駆逐艦が黒海にいる期間中に合同軍事演習にも参加する予定だということです。なお、軍事演習の日時や他の参加国については言及しませんでした。

　これは今週に入ってウクライナ情勢悪化後のアメリカの新たな対策の１つです。8日、ケリー国務長官は、ロシアがウクライナ東部地域の「親露派」による混乱状況を煽り、ウクライナを分裂させようとしているため、アメリカはロシアに対してエネルギー、銀行、採鉱などを含む新たな制裁を行う予定だという考えを示しました。

　米軍の行動を受けて、ロシアは「国際条約で非黒海国家の軍艦が黒海に駐屯できる重量と期限が決められているが、米軍の軍艦は数回も駐屯の期限を延長した。これは国際条約に違反するものだ」と、アメリカ国防総省とトルコに注意を喚起しました。

　9日、ロシアのアントノフ国防次官は「一部NATO加盟国の部隊がロシア国境地域で大量に駐屯している。ロシアは国の安全が脅かされることを許さない」としました。この発言に対して、NATOは否定する一方、ロシアがウクライナ東部国境地域に１万人以上の軍力を配備したと指摘しました。（ヒガシ 高橋）国際・交流へ