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採掘機が点在する盤錦の湿地帯 |
長興島工業区の設計図 |
石油採掘機が水田や湿地帯に点在する盤錦を後に、『5点1線開発ライン』の3番目のポイント、大連長興島臨海工業区に向かいました。盤錦は石油化学工業を中心に新たな産業基地を開発し、稲作や湿原などの自然と調和の取れた新しい経済圏の開発を目指していました。
盤錦に続いて訪ねた長興島は、渤海湾に面した大連に程近い中国で5番目に大きな島です。この島で現在開発が進められている「大連長興島臨港工業区」は、島全体を造船業を中心とした総合的な産業都市として、生まれ変わらせようとするものです。『5点1線』の中でも最も進んだ開発地域とされ、すでに大規模なプロジェクトが参入しています。計画の設定は、シンガポールの協力によって進められ、世界第6位の韓国資本の造船会社STXが参入し、造船所の建設を進めています。ここに造船業をベースとして、鉄鋼、自動車部品、石油化学、物流などの企業を導入し、やがて、この島に自由貿易区を設定する方針です。中国の内陸部や大連と鉄道、高速道を円滑に結ぶとともに、島の港に60ヶ所の埠頭を造り、将来は、東北アジア最大の船舶工業基地にすることを目指しています。臨港工業区委員会の幹部によれば、これまでの大連経済開発区はこれまでの大連の発展を支え、長興島開発区はこれからの大連を支えていくと誇らしげに語っていました。
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長興島大橋 |
庄河花園口開発区 |
大連近くで開発が始まっているもう一つの『5点1線プロジェクト』があります。遼東半島をはさんで反対側に 位置する「大連庄河花園口工業区」です。ここは、かつて塩田として利用されていた広大な海岸の平地を利用して、大規模な工業団地を建設しようというものです。その計画面積は、50平方キロ。2004年から始まった開発で、現在15平方キロが工業団地の造成を終えています。2本の河による淡水資源に恵まれ、しかも、庄河の河口には、港もあります。日本の長崎まで560海里という、日本に一番近い港があることを売り物の一つにしています。この大規模な工業団地に自動車部品、新素材、電子機器、食品加工、家具製造などの企業が外資を含めて参入することを呼びかけています。すでに八つのプロジェクトが完成し、数十件の契約が成立するか、あるいは、交渉を進めているということです。日本からもすでに八つの企業が独自の工業園区を造り、この中で、操業する予定になっています。
「長興島臨港工業区」と「庄河花園口工業区」の2つの開発区を並べて見ると、これまで大連が果たしてきた役割をこの2つに担わせ、東北3省の玄関としてこの地域を更に大きく発展させようという狙いがありありと感じられました。(文章:満尾 巧)
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