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一時間目 浙江省青田県「水田養魚」

2017-07-07 20:08:02     cri    


 世界重要農業遺産は、2002年、食料の安定確保を目指す国際組織「国際連合食糧農業機関」(FAO)によって開始されたプロジェクトです。

 世界農業遺産の目的は、近代化の中で失われつつあるその土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観などを「地域システム」として一体的に維持・保全し、次世代へ継承していくことです。

 認定地域は世界各国に広がり、2015 年12月末現在で15カ国36地域です。

 今日の番組では、世界重要農業遺産リストに登録された中国の重要農業遺産を紹介します。一回目は、浙江省青田県の「水田養魚」を取り上げます。

 中国東南部の沿海地域に位置する浙江省麗水市青田県竜現村は、周りは青々とした山に囲まれている所です。300年余り前の古い家屋が今でも完全な姿で保存されていて、古風で美しい田園風景が広がっています。

 村人の家屋の前後にはたくさんの池があり、まだ田植えをしていない棚田にも水が満ちていて、たくさんの魚が泳いでいます。これは、この村の伝統的な農法「水田養魚」です。

 国連食糧農業機関(FAO)は2005年5月16日、世界中から古い歴史を持ち、絶滅の危機に瀕している5つの農業システムを「世界農業遺産」保護区として選定しました。麗水市青田県竜現村の「水田養魚」は世界農業遺産の第一陣として、そして中国で初の重要遺産として選ばれました。青田県では2004年、6667ヘクタールの水田で「水田養魚」が行われました。

 竜現村では約700年前から「稲田養魚」が行われていると言われています。村は人が多い割に田畑が少なかったため、限られた水田を有効活用しようと考え、稲と魚を共に育てるようになりました。

 水田で養殖した魚は「田魚」と呼ばれます。鯉の一つの変種で、色は黒、赤、黄、白の4種類。水田に張る水は、山から流れてきたもので水質が良く、この水で育った魚は美味しく、鱗もやわらかくて食べられます。

 魚はエサを探すとき、水面を波立てて、泥を掘り返します。まるで牛が土を耕しているようです。また、肥料や土地、水分、生長空間を稲から奪う水田雑草を魚が全て食べてくれるので、除草する必要もありません。

 「水田養魚」というシステムは、稲そして魚の成長にも役立ちます。稲は魚の日よけになり、有機物を生み出します。魚は水に酸素を与え、害虫を食べ、養分を循環させます。FAOはこの良好な生物連鎖に目をつけました。

 毎年9月の稲刈りの頃には、村人たちは、「田魚」をすくい上げ、自宅で食べたり、市場で販売します。一部の村人は現地特産の「田魚の干物」も大量に作ります。

 現在は、浙江省の水田養魚を含む全国の伝統農法の水田養魚の面積は減っています。浙江省青田県の「水田養魚」が「世界重要農業遺産」に登録されたことをきっかけに、浙江省や青田県農業関係の行政部門と農家は、一緒に水田養魚の継続と発展に取り組んでいます。浙江省青田県だけではなく、中国全土の水田養魚のような重要農業遺産、農法の重要性、継承と開発の継続が皆の願いです。

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