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一時間目 中国人の名前に関する調査報告、中国現代文学の散歩道~李敬澤「趙氏孤児」(2)

2017-01-17 20:46:17     cri    


 担当:王小燕、斉鵬

 日本各地は寒波に襲われて、雪が降ったりしているようですが、皆さんお変わりなく過ごしていますか。中国では先週後半、2、3日ほど青空が見られましたが、週明けからまたスモッグの日に戻ってしまいました。

 ところで、このような外出して体を動かすのに向いていない日に、室内ででもできる健康体操があります。今から40年ほど前にも、中国各地で一度流行っていた「平甩功」(「甩手功」とも)が最近、その効用がじわじわと見直されています。簡単にいいますと、手を振ることで健康を保たせる体操のことです。両手をまっすぐに伸ばして、一定のリズムで、体の前後へと振るという極めて簡単な動きですが、体の血流や気の流れを良くする効果があると言われています。

 ちなみに、この手を振る体操は今、日本にも伝わっています。「太極坊」という日本における太極拳の普及に尽力している団体が精力的に活動しています。この29日(日曜)にも、東京で大型研修会が開かれる予定です。場所はJR山手線「日暮里」駅南口から徒歩3分の会場です。ご興味のある方、「太極坊」の公式サイトから詳細をご覧ください。

 さて、今週の「旬な話題」は中国人の名前に関する調査報告の結果をご紹介します。中国は今、建国以来4回目の「名前がだぶる」ブームを迎えているといわれていますが、過去と現在、それぞれどんな名前がよくだぶるのでしょうか?その理由も併せてチェックしました。

 続いて、先週から始まった新企画、中国の現代作家の文学作品を朗読で紹介する「中国現代文学の散歩道」。今回は先週に続いて、中国人作家で文芸評論家の李敬澤(り・けいたく)の小説「趙氏孤児」の2回目を紹介します。第2節の「二つの取るに足らないこと」を王小燕、星和明と斉鵬の朗読でお届けします。

 なお、このコーナーは中国文学の翻訳誌『新しい中国文学 灯火』(以下『灯火』)誌の後援により実現したものです。『灯火』は、中国で最も権威のある文学雑誌『人民文学』の日本語版として、2015年12月に創刊。これまでに全3冊が刊行されています。「趙氏孤児」は、去年3月に刊行した「特別版」に掲載された作品。翻訳は水野衛子。

 【背景】

 ★第2節 「二つの取るに足らないこと」あらすじ

 晋の襄公(じょうこう)が崩御した後、宰相の趙盾は襄公の異母弟を王位継承者に擁立したかった。しかし、思いがけずに王妃の陳情に出くわされた趙盾は、考えた末に妥協した。王妃は皇太后となり、赤ん坊は国王となり、孤児と未亡人は公正を取り戻した。物語りをここまで語ったが、今回は2つの「取るに足らないこと」を話す。

 1つは趙盾と賈季が仲たがいしたこと。もう1つは秦国にいる襄公の異母弟を迎えに行かされた晋国の武将、先蔑と士会の仲についてである。二人は情勢の急変で、秦に亡命することになる。同じ運命をたどる人になったものの、秦にいた6年間、二人はとうとう一度も顔を合わせることはなかったという。

 ★関連の言葉

 【前志(ぜんし)】昔の記録や書籍、または昔の人のこころざし。ここでは前者の意味を指す。

 【微博(ウェイボー)】中国のツィッターといわれるマイクロブログ。

 【莫言(モーイエン】作家。1955年山東省高密の生まれ。2012年、「マジックリアリズムを通じて、民話、歴史、現代を融合させた」という理由で、ノーベル文学賞に受賞。

 ★登場人物

 趙盾(ちょうとん):晋の政治家。趙衰の長男。晋で長く政権を執り、趙氏の存在を一躍大きくした。

 賈季(かき):晋の文公の義理の弟、晋の重臣。

 先蔑(せんべつ):晋の武将。

 士会(しかい):晋の武将。

 臾駢(ゆべん):趙盾の腹心、晋の大臣。

 ★李敬澤について

 1964年天津生まれ。 北京大学卒。中国作家協会副主席、中国で最も権威ある文芸雑誌『人民文学』の元編集長。著名な文芸評論家で、中国の作家たちの尊敬を集めるとともに畏怖される存在でもあります。

 幅広いスタイルの作風の作家としての顔もあり、『検証千夜一夜――21世紀初の文学生活』、『文学のために申し開きをする』、『反遊記』、『小春秋』、『理想的な読者へ』などの著書があります。

 ★「趙氏孤児」について

 司馬遷の『史記』にも出てくる史実をもとに、元代の劇作家・紀君祥が元曲として創作した中国の有名な悲劇の一つで、18世紀にはフランスの作家ヴォルテールによって翻案され、ヨーロッパで舞台化された最も古い中国の芝居でもあります。

 中国でも繰り返し京劇などの伝統演劇や話劇の舞台、テレビドラマに取り上げられ演じられてきました。近年では、陳凱歌監督が映画化、日本語訳『運命の子』として、2011年に日本でも公開されています。

 これら良く知られた「趙氏孤児」は、霊公殺害の冤罪で趙家が将軍・屠岸賈(とがんこ)によって、一家全滅の罪に問われた際、趙家に恩のある公孫杵臼(こうそんしょきゅう)や程嬰(ていえい)らによって助け出され趙盾(ちょうとん)が一人生き延び、やがてその孫の趙武が長じて一家のあだ討ちをするという復讐の物語です。

 李敬澤のこの小説はその有名なストーリーのエピローグ、またはスピンオフともいえる内容になっています。霊公と趙盾との確執(かくしつ)に、中国の現代にも通じる諸問題を見出すという、単なる歴史小説を超えた語り口になっています。

 ★リスナーさんのお便りの抜粋

 【ゲンさん】「趙氏孤児」の朗読、楽しませてもらいました。新年に相応しい挑戦で、お二人に拍手を送ります。斉鵬さんがもう少し感情を込めてくださると、王さんとの感情のバランスがとれるのではと思いました。

 「弱者にあるのは天の理と人の情である。大事は実は小事であり、良い事は悪い事に、悪い事も良いことになりえる」

 心に残った言葉です。

 ネトウヨとかネットで炎上などという表現が2600年の時空を飛び越え、変わらぬ社会のあり様をついていますね。

 【吉村澄代さん】王さんの朗読はメリハリがあり、また、台詞のところなども感情がよく出ていてよかった。斉鵬さんは、まだ慣れないからか、趙盾のセリフのところなどが、ちょっと元気がない。しかし、重々しさを出そうとするには、余り元気がよすぎてもよくない面もある。このように台詞の部分は非常に難しいもので、あまり誇張するとわざとらしくなるし、感情がこもらないとこれまたただの読み上げになる。

 日本では、朗読のベテランと言えば森繁久弥と加藤道子が作った独特の朗読の技術と世界(NHKの日曜名作座)があり、それを超える人は今もって出てきていないのではないだろうか。

 私は小中学生の時はラジオしかなかった時代の人間なので、NHKの二人の朗読をよく聴いていたものだ。我々の年代はけっこうラジオの朗読番組に親しんでいるので、リスナーの人たちの年配者はこの朗読番組は楽しみにしておられるかもしれない。私も今後を楽しみにしたい。

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