農山村を撮影する際、アヒルが私の好きな被写体です。姿がすごく美しいのと、必ず群がっているので泳いでいる姿がすごく絵になるからです。構図を考える時は、バランスが大事です。

 桂林郊外で奇岩を背景に撮ったこの一枚を例にすると、ちょうど山の背景のところにアヒルに行ってほしいのですが、最初はアヒルたちは手前のほうにいて、なかなか向こうへ行ってくれません。あまりに動いてくれないので、一緒にいた人に石を投げてもらいました。そうしたら、アヒルたちがいっせいに向きを変えて泳ぎ出し、良いアングルで一枚撮影することができました。

 また、湖南省で撮影したこちらの写真は、アングルや構図の選び方で工夫をしてみました。田んぼの中で虫を食べているアヒルを撮ったのですが、写真の重みが平均に行かないとバランスが悪いように思います。

 結局、一番良い状況になるまで、ずっとあぜ道で待っていました。私の頭の中ではアヒルたちが行く一番良い場所が分かっているので、待っていれば、必ず最高の状態でそれを再現してくれると信じています。そのためになら、何時間でも待ちます。

 以上のように、撮影においてあらゆる形が私の中に出来上がっていますので、実際の風景がそのイメージと重なりあった時にこそ、私はシャッターを押すのです。


田圃の中がアヒルのあそび場(2010年10月、湖南省常徳)、


岩山にこだまするアヒルの合唱(2003年10月、広西チワン族自治州桂林)


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