東京都府中市。1988年のある夜、偶然の機会で北京放送と出会い、そして虜になる。その後北京放送を聞く会会員となり、会が主催する諸活動に意欲的に参加してきた。

　1997年からの一年間北京留学中、日本語放送番組によく出演し、日本語部スタッフとの付き合いをさらに濃いものにした。今は趣味の篆刻を研鑽する一方、懐かしい北京放送の若いアナウンサーの放送に耳を傾けている。

その５：学習訪中団

　北京放送を聞く会から、12名の中国語学習訪中団がやってきた。97年12月27日着、1 月3日帰国のハードなスケジュールである。僕は局の一員（？）として手助けに回っ た。

　訪中団の目的のひとつは、北京市民の普段の生活を味わって、中国をより深く理解することにあるという。単に教室で中国語を教わるだけでなく、家庭訪問をしたり、街へ出て地下鉄やバスに乗ったり、放送局の職員食堂で食事をしたり、盛りだくさんの予定が組まれた。

　到着した翌朝は、早速旧放送局の食堂で、市民が日ごろ食べるトウモロコシや粟入りのお粥、油条などの食事をとり、新局舎のある八宝山まで、各自で切符を買って地下鉄で移動をした。

　家庭訪問は市のはずれにある四合院づくりの家庭で、２班に分かれてギョウザ作り。団員たちは知っている中国語すべてを使って、大はしゃぎで市民とのひとときを過ご した。

　中国での大晦日、忘年会は放送局食堂の２階で始まった。日本語部の面々はいうに及ばず、張振華局長までもがヤンコ踊りに加わるという盛りあがりで、文字通りの年忘れとなった。

　除夜の鐘を聞こうと大鐘寺へ出かけたが、団員のひとりは北京テレビのライトに照らされて取材を受け、流暢な中国語で受け答えをしていた。

　帰国前日は卒業試験。連日の猛勉強が実って全員が優秀な成績で卒業証書を手にした。予定外ではあったが、局の労働組合が主催しての交歓会があり、中国語で挨拶した団員は喝采を浴びていた。

　局長は、今回の学習訪中団に対し高い評価を下し、パネル展示をするよう指示された 。取材には局のカメラマンを派遣され、１階ホールには大きなパネル展示コーナーが できた。取得了圓満的成功であった。

好朋友

　北京放送という看板は実に重く偉大だと感じる。僕はそれほど多く訪中団には参加していないが、それでも行った先々に友達ができた。「看板」のおかげである。初めて北京に行ってからもう18年にもなるが、各地を旅行する際、そちらの地に旅行しますと連絡をすれば、彼らはかならず待っていてくれる。会ったとたんに隔たって いた時間は消滅し、昨日まで一緒にいた気分になる。

　各地に好朋友をもたらしてくれた北京放送に深く感謝している。

郊游

　前にも書いたが日本語部では春と秋に郊游（ピクニック）がある。僕は何度となく参加しているのでその楽しさを日本のリスナーにも知ってもらおうと思い、郊游参加訪中団を企画した。2002年だったと思う。

　元北京放送を聞く会メンバーで構成した訪中団だった。高年齢の方が多かったので、あまりハードにならない地を選んでいただいた。比較的近い郊外の潭柘寺と戒台寺が選ばれた。日本語部の皆さんと団員が楽しんだ１日は、深く心に刻まれたようだった 。

　中日人民が互いに交流を深める事が大事だと強く感じている。放送をお聞きの方々も 積極的にピクニックに参加されることを望む。

放送に関して

　北京放送を聞く会で広報を担当したことと留学したことによって、僕の気持ちの中での北京放送は、我が事のようなポジションを占めている。

　僕が北京放送を聞く会に入会したころから、時代は目まぐるしく変化をはじめ、いまや情報は瞬時に世界を駆けめぐるようになった。2000年3月31日をもって全国組織の北京放送を聞く会はピリオドを打ったが、インターネット時代は北京放送とのアクセ ス回線を大幅に増大させた。

　テレビ時代に入ってから人々の想像力は極端に矮小化している。映像の良さも認めな ければならないが、ラジオ放送の良さを今一度見直す必要があるのではないか。

　北京放送にもその一端をになってほしいと願う。同時に我々リスナーが放送を育てな ければならないと感じている。テレビ、ラジオ放送とインターネットを含む通信のあり方が問われる時代に入ったことを感じる。