北京
PM2.577
23/19
初詣は日本では新年の風物詩と言える。例年だと、除夜の鐘が鳴り響くのと同時に、神社仏閣などの前では新年の無病息災や平安無事などを祈る人々の長蛇の列が見られた。
しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行がこの伝統的な大晦日の風景まで変えてしまう。三密を避けるため、夜通しの初詣受け入れを自粛した神社が出たり、初詣に繰り出す人を運送するための深夜バスの運転も中止となった。混雑状況に合わせて、入場制限を発表した神社もある。いつもと違って、ずいぶん静かな年末年始のようだった。
しかし、初詣が不便になってはいるが、新年の願掛けをしたい気持ちはむしろ例年以上に強いと言える。「身体健康」、「合格祈願」に、「新型コロナが早く収束し、いつものような日常が戻るように」という声が大きな唸りになって聞こえる。
感染症のため、世界の分断が進んだ面もあったが、それだけ人類が手を携えて、共同して困難に立ち向かう必要がいつも以上に切羽詰まったことになっている。2020年は、全人類にとって禍の共通体験として記憶される年になったが、それと同時に、どんな時よりも人類運命共同体の意義を痛感した年になっていたに違わない。
先行きへの不透明感が強まる中、2020年最後の日に、希望につながる情報もあった。中国医薬集団(シノファーム)が開発した新型コロナウイルス不活化ワクチンが市場への供給が許可されたのだ。「ワクチンを世界の公共財にする」。これは中国の厳かな約束である。この動きがこの約束を実現するのに強い下地を提供したと言える。
パンデミックの収束がまだ見通せない中、こうした発表は一筋の光に過ぎないかもしれない。しかし、たくさんの僅かな希望の光は必ず明るいたいまつになり、世界を明るく照らすに違わない。
2021年の幕が開けた。全人類にとって健康で幸多い一年でありますように切に願う。共同して立ち向かう。これがきっと最強のお守りになるに違わない。一年の元始の日に、こう強く信じたい。(CRI日本語部論説員)