北京
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チベット自治区チャムド市マルカム県ナシ民族郷に、「ゴラツォン」というレストランがあります。そこでオーナーを務めるのが36歳の女性・ジョマラムさんです。ジョマラムさんは中学2年生の時、両親が病気になり家計が苦しくなったため、学校を中退して、働きながら二人の姉の学業を支えていました。
地元ナシ民族郷には郷土料理の「加加麺」があります。「加える麺」と書くこの麺は、名前の通り、少量の麺を加えられながら食べるというものです。麺はそば麺で、ソースは豚肉のミンチやネギからなります。お客さんがお腹いっぱいになるまで、何回も何回も麺が加えられます。このやり方は、「客を歓迎する」という意味が込められているそうです。
当時、地元には「加加麺」のお店がかなりありましたが、殆どの店は兼業で、畑仕事をしながら営業をしていました。しかし、ジョマラムさんはこの地方色豊かな麺に目をつけ、麺の捏ね方からミートソースの炒め方、そしてスープの取り方などについて、繰り返し研究し、美味しい麺を作れるようになりました。その麺が評判となり、店の年収が1万元から5、6万元に増えたお陰で、両親も回復し、二人の姉も大学を卒業するまで学業を続けられました。
2009年、「加加麺」はチベット自治区の無形文化遺産に認定されます。このことにより、ジョマラムさんにより大きなチャンスがもたらされました。その翌年、チベット支援にやってきた幹部らに助けられ、ジョマラムさんは政府からの補助金をもらい、さらに貯金を加えて、300平米のチベット風レストランを建てました。さらに政府によって雲南省に派遣されるレストラン経営者の研修会にも参加し、経営方法などを学んできました。その後、さらに幹部らの意見を聞き取り、経営に地元の歌の披露や民族楽器の演奏など文化的コンテンツを盛り込み、2017年には年収50万元を実現したのです。
撮影:李元梅 tibet.cn
一方で、事業拡大を求めながら、ジョマラムさんは地元の貧困家庭に常に気配りし、貧困家庭10世帯を雇い、面倒を見てきました。その中で、数年間の見習いを経て、独立して自分の麺店を開く人もいます。
郷土料理の「加加麺」は地元のここ数十年の発展をずっと見守ってくれているに違いありません。(閣、CK)