北京
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中国では、自然環境が厳しい地域に住む人々の貧困脱却を目指して、住みやすい地域への移住プロジェクトが進められています。青海省互助トゥ族自治県も、その取り組みが行われている場所の一つです。互助トゥ族自治県の六盤山には貧しい山村がいくつもありました。その一つが班彦村です。129世帯が暮らすこの村は元々、標高2700メートルの沙溝山の山中にありました。土地は痩せ、交通が不便で、「10年のうち9年は干ばつに見舞われる」という厳しい土地でした。
この村のための移住政策が決まったのは2016年のことでした。村民たちは標高2500メートルの班彦新村への移住を勧められました。56歳の呂有金さんとその家族も、この時に引っ越しをしました。呂さん夫婦は新しい村で酒づくりを再開し、それから4年が経ったいま、呂さんが作ったお酒は好評で、商売はますます繁盛しています。
班彦新村が建設された時には、習近平総書記もここを視察に訪れました。習総書記はその際に、「民族や地域、特色のある文化と結びつけるように」といった指示を出しました。村の伝統を守りながらの発展を促すこの指示の下で、村民たちは安心して新生活を送り、努力してきました。
班彦新村は大きな道路からも近く、各家庭には水道、電気、ガスなどの設備が整っています。呂さん一家は庭付きの200平米の家に住んでいます。移住を終えた呂さんは2017年に政府の支援を受けて、酒工房の経営手続きを完了させ、先祖から受け継いだ酒造りの職に専念し、一年目から15万元の年収を得ることで、あっという間に貧困から抜け出すことができました。
呂さんが貧困を抜け出した2017年には、この村の一人当たりの可処分所得が7309元になり、呂さんだけでなく村のすべての家庭が貧困脱却を実現しました。
政府はさらに、少数民族であるトゥ族の民族文化の継承・保護を貧困脱却への道と結びつけたトゥ族刺繍園の建設に乗り出し、300万元を投資して、1500平米の刺繍園を建てました。現在ここでは企業、政府、農家の連携による刺繍製品の生産モデルが確立され、伝統工芸であるトゥ族の刺繍は村の重要産業となっています。刺繍園の仕事に従事する145人の女性のうち、93人が貧困家庭の家族でした。
ここ2年間で、村には医務室や、環境に配慮したエコパーク、ネットショッピングセンターなどが次から次へと建てられ、今年9月には念願の幼稚園が完成して、村の子ども達を迎え入れました。
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、今回は厳しい環境を離れ、移住を通して貧困脱却を実現した青海省互助トゥ族自治県の班彦新村についてお伝えしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週。さようなら。(閣、謙)