北京
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内蒙古北東部に位置するホルチン右翼前旗の草原で、9月の初め、ナーダム祭りが開催されました。モンゴル最大の祭典であるこのお祭りでは、競馬やモンゴル相撲など伝統的な催し物を思う存分楽しむことができます。一方で、時代のトレンドを生かして、ここ数年は民族衣装を披露するファッションショーも行われ、お祭りに花を添えています。
秀雲さんが率いるイトハユリ民族手芸クラブはナーダム祭りに何回も参加しています。この手芸クラブが立ち上げられたのは4年前の2016年でした。刺繍ができる人や興味のある女性らが草原のあちこちから集まってきて、暮らしの改善を目指して、観光記念グッズなどの刺繍手芸品を作り、販売をしています。秀雲さんです。
「最初の頃は、伝統的で鮮やかな糸で布の靴や枕カバーなどを作っていましたが、お客さんに見てもらうと、鑑賞するにはいいけれど、買おうと思うようなものではないと指摘されました。失敗を重ねて、自信を無くし、辞めてしまう人もいるほどでした」
刺繍作品を人に買ってもらえる商品にするため、どのように変えていけばいいかについて真剣に悩んでいた秀雲さん。その時です。政府が支援の手を差し伸べてくれました。無利子貸し付けが与えられたほか、刺繍技術を習得するための研修会も開催してくれたのです。
「研修を通して、市場という概念を理解するようになりました。どのように商品を開発して販売するかなどを考え、文化の伝承をしながら、市場と結びつけるようになりました」
伝統文化と市場と近代的アイディアを融合して、草原の真っ赤なイトハユリをテーマに、クラブは市場に認められる刺繍製品を次から次へと開発しました。注文がたくさん入るにつれて、周りの村民1600世帯の収入増にも貢献しました。また、メンバーの皆が刺繍を通して、心身を充実させることもできました。
メンバーのゴウンギギガさんです。「ここに入ってから、刺繍の腕をあげて、収入を増やしただけでなく、友達もできて、交流もしています。美しい花を刺繍しているので、心が和み、より幸せを感じられるようになりました」
もう一人のメンバー、呉龍梅さんです。「刺繍が施された民族衣装を身にまとい、自分の民族の文化をアピールすることができて誇らしく思います」
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、今回は伝統刺繍技術を受け継ぎながら暮らしの改善を実現した内蒙古のイトハユリ民族手芸クラブについてお伝えしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週。さようなら。