北京
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▲四川省閬中市五龍村
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、第1回は、四川省閬中市で家を民宿にリフォームし、手挽きコーヒーを淹れながら豊かさと幸せを手に入れた2人のお婆ちゃんのお話です。
手動のコーヒーミルを使って、手で挽いた豆にこだわる……コーヒー好きには当たり前のことかもしれません。でも、そんな手挽きのコーヒーを、中国の農村で、それもお婆ちゃんが淹れてくれるとしたらどうでしょう。
▲コーヒーを淹れる王素清さんと杜雲珍さん
中国南西部・四川省閬中市にある五龍村。市街地から25キロ離れたこの村には、大小の特色ある民宿があります。中でもネットで話題なのが、家主である2人のお婆ちゃんの名前に因んだ2軒。今年85歳の王素清さんの民宿「素清」と、76歳の杜雲珍さんの民宿「芸楨」です。(中国語で芸楨と雲珍は共に「ユンジェン」と発音する)。
五龍村は2017年に発展目標として「特色ある山村観光」という内容を掲げ、王さんと杜さんの同意を得て、それぞれの家に「古民家のままリフォーム」する改築工事を施し、運営管理を実施しました。これにより、この2軒の民宿が誕生しました。
2人のお婆ちゃんは家の一部を民宿として使ってもらい、普段は民宿の清掃や簡単な管理の仕事を担当することで、月500元の収入を得ています。また、民宿で2人が淹れるコーヒーは、手挽きミルで豆を挽くこだわりようで、利用客から好評です。
2人のお婆ちゃんは少し耳が遠くて、コーヒーの注文を間違えてしまうこともしばしばあるとか。でも、お客さんたちはそんな点も含めて、のどかな時間を満喫しているようです。2人も優しいゲストとスタッフに囲まれ、民宿で働く毎日を楽しんでいます。
ここ数年、閬中市では観光業の発展に文化、郷土、地方の特色といったキーワードを取り入れ、「美しい経済・プラス・共に豊かになる」という方針に基づいて、観光企業の誘致に力を入れています。村の空き家が改築され、村民が賃貸や投資という形で経営に参加し、「家を離れることなく豊かになれる」ことが実現しています。閬中市らしい、ユニークな貧困脱却の手法が確立されているのです。
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、第1回は家を民宿にリフォームし、手挽きコーヒーを淹れながら豊かさと幸せを手に入れた2人のお婆ちゃんの話をお届けしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週、お楽しみに。(閣、謙)