北京
PM2.577
23/19
「支払いは別の人が負担し、その人の代わりに食べたり、飲んだりする商売」と聞きますと、そんなおいしい話がどこにあるのかと感じる人も多いでしょう。今日はこうした有料の「味見代行」サービスなどソーシャル消費についてお送りします。
中国のECプラットホームには、有料の「味見代行」サービスという書き込みが確かに見られます。しかしこのようなサービスを利用する人が本当にいるのでしょうか?
あるECプラットホームにログインしてみますと、「味見代行」という書き込みをしているネットユーザーは一人や二人ではありません。そのプラットホームで「味見代行」と検索してみますと、100件以上ヒットしました。
それら「味見代行」の書き込みは、「ミルクティー限定」と備考を加えているネットユーザーもいれば、代行できる地域を限定しているネットユーザー、さらに、「体に悪いものや食べられないもの以外は何でも味見代行可能」としているネットユーザーもいます。
料金も0.5元から50元、およそ8円から800円と幅があり、「味見代行」の売り文句として「列に並ぶ必要はなし」や「太る心配なし」といったフレーズが見られました。
しかしそのサービスを利用するため連絡してみたところ、その多くが遊び半分で書き込みをしていることが分かりました。
もちろん、本当に「味見代行」をしているネットユーザーもいます。書き込みをしているネットユーザー20人以上と連絡を試み、ついに実際に「味見代行」をしてくれるネットユーザーと連絡が取れました。
また、このユーザーは以前の利用者とのチャット記録を示すことで、実際にそのサービスを提供していることを証明してくれました。
消費者の一人として「味見代行」サービスを体験してみたところ、まずは「味見代行」をしてもらうブランドと商品を選び、味見をしている様子を動画で撮影するのか、画像で撮影するのかを選ぶよう求められ、撮影する際にその人の顔を映す必要があるかも指定できました。
今回「味見代行」をしてもらったのはミルクティーで、商品の価格に加えて代行費用として5元を請求されました。
約束の時間になりますと、指定のミルクティーを購入し、それを飲んでいる様子を捉えた日付入りの動画、ユーモラスな画像2枚が送られてきました。これで、サービス提供完了となります。
なぜ「味見代行」をしているのかについて、このネットユーザーは「ミルクティーを飲むための理由が欲しかったから。私はミルクティーが大好きだけど、ミルクティーが体にあまり良くないことも知っている。そんな葛藤(かっとう)から、仕事のためにミルクティーを飲むなら、あれこれ考えなくて済むと思った」と説明してくれました。
全ての「味見代行者」が趣味でしているわけではありません。中国の東北地域に住む別の味見代行者に連絡を取ってみますと、「ネット上で味見代行をしている人がいるのを知って、自分も始めた。それを新しい職業と見ている。意味不明な職業だと思われるかもしれないが、実際には客からのさまざまな要求を満たすことは自分にとっても一種の挑戦であり、社会体験の一つ」との見方を示しました。
ある四川に住む味見代行者は取材に対して、「味見代行の利用者は、自分では食べられないからではなく、別の人がおいしそうに食べている様子を見るのがうれしいから利用する場合もある。もちろん、その画像や動画を微信(WeChat)のモーメンツに投稿し、チャットをするためという利用者もいる。私は10人以上にサービスを提供してきたが、商品がどんな味かを知りたくて味見代行を利用する人はめったにいない」と説明しました。
この代行者は、「ほとんどの利用者が、それをどのように食べるか、どの程度食べるか、どのように動画を取るかなどを相談するのを楽しむために利用している。楽しんでいるのは、相談の過程と動画、画像で、食品や飲料品ではない」と言います。
取材では、「味見代行者」はいずれも在学中の学生であることも分かりました。
「味見代行」だけでなく、ネット上では「ゲーム代行」、「ネコなで代行」などの書き込みもあります。
マーケティング関係者は、「『体験代行』サービスは意味不明と感じる人もいるかもしれないが、ネット上のライブ配信で、誰かが食事をしているのを見たり、耳かきをしたりしているのを見るのと同じ。日常生活の娯楽化サービスで、人々の精神的需要を満たしている」と分析します。