北京
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23/19
毎週土曜日にお送りしている「チャイナビジョン2019」。この番組では、新時代を迎えた中国に様々な角度からスポットを当て、最新の中国事情をお届けします。
今日は、今年の春節(旧正月)連休期間の映画市場についてご紹介します。
お相手は私、斉鵬です。
今年の春節連休期間には、コメディ、アニメ、SF映画を含む8本の国産映画が上映されました。国家映画局の統計によりますと、10日までの7日間の観客動員数は1億3000万人に達し、それによる興行収入は昨年同期に比べ1.2%増の58億4000万元(約950億円)となり、史上最高を記録しました。中でも、春節初日の2月5日の興行収入は14億4300万元(約230億円)で、前年比で約13%伸び、春節連休の1日の興行収入としては記録を更新したということです。
作品で見ると、SF映画が最も人気を呼びました。中でも、中国初の大型SF映画「流浪地球(さまよえる地球)」が、8作品の中で最も多い20億1000万元(約330億円)の興行収入を上げています。
この映画は、2月5日の時点では、1日の興行収入を比べるランキングで4位につけていましたが、7日になると急に1位に浮上し、連休終了まで首位を走り続けました。中国映画資料館が春節期間の上映作品を鑑賞した人たちを対象に行った満足度調査でも、なんと85.6点と最高の点数を獲得しました。この映画は、太陽が数百年以内にヘリウム・フラッシュ(大爆発)を起こして赤色巨星化するという危機に直面した人類が、太陽系脱出の計画に乗り出すというドラマチックなストーリーで、1億元(約16億円)を超える制作費を費やし、4年がかりで作られたSF超大作です。またこの作品は、アジア初のヒューゴー賞を受賞した中国の小説「三体」の原作者として知られるSF小説家の劉慈欣(リュウ・ジキン)の小説を映画化したものとしても話題を呼んでいます。さらに、本編には、中国で歴代最高の興行成績を誇る映画「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」で主演を務めたアクション俳優・呉京(ウー・ジン)が特別出演しています。こうした人気作家の作品の映画化、人気俳優の起用、質の高いCG、それに良く練られたストーリーが、作品が人気を博した理由だとみられています。映画評論家の黄勇氏は、中国では珍しい本格的なSF映画であるこの作品の中でも、未来の世界を描いたシーンが印象的だと述べています。黄勇氏はまた、こう語ります。
「この映画は“ハードSF”と呼べる、本格的なSF映画です。“ハードSF”には、確立された世界観、産業に対する高い要求、それに一定の規模が必要になりますが、この映画はそれを全部そなえています。またそれだけではなく、ビジュアルの迫力も備えています。」
興行収入のランキングで「流浪地球」に次ぎ、2位となったのもまた、SF映画でした。作品名は「瘋狂的外星人(駆け抜ける宇宙人)」、こちらの興行収入も14億4900万元(約230億円)に上ります。そして実はこの映画もSF小説家、劉慈欣(リュウ・ジキン)の小説を映画化した作品です。アクション・コメディタッチで、猿芝居で生計を立てる男性2人組がひょんなことから宇宙生物に出くわし、その宇宙生物に弄ばれながらも、この宇宙生物を狙ってアメリカからやって来た男たちと争奪戦を繰り広げるというストーリーです。「瘋狂的石頭(クレイジー・ストーン 翡翠狂騒曲)」で話題を呼んだ寧浩(ニン・ハオ)監督がメガホンを握り、人気コメディ俳優の黄渤(ホァン・ボー)と瀋騰(シェン・タン)が主演に起用されています。ユーモアに富んだSF映画で、子どもも大人も気楽に楽しめる作品だといわれています。
「『瘋狂的外星人』、とてもいいと思います。中国独特の笑いの要素がいっぱい詰まっています。」
「SF小説家の劉慈欣が脚本を務めると聞いて、見に来ました。なかなかいいと思います。10点満点なら9点をあげたいですね。」
統計によれば、この2つのSF映画の興行収入は、春節期間に上映された8作品の半分以上を占めたということです。こうした興行成績からも、今後中国オリジナルの優れたSF映画の誕生が期待されるところです。
チャイナビジョン2019、今日は、今年の春節(旧正月)連休期間の映画市場についてご紹介しました。
お相手は斉鵬でした。