北京
PM2.577
23/19
つい先日、ペンス米副大統領が行った中国の内外の政策に対する様々な事実無根の非難を交えた演説は、中米関係に再び冷や水を浴びせるものとなった。これには米国の国務長官経験者らも見かねた様子で、先頃、ブッシュジュニア氏が任命した米国初のアフリカ系国務長官パウエル氏、クリントン大統領が任命した初の女性国務長官オルブライト女史らが共にCNNの著名司会者ザカリヤ氏のインタビューに応じ、「中国は米国の敵ではなく、米国は中国と新たな冷戦を展開すべきではない」との意見を表明した。
オルブライト女史は、「中国が現在台頭しつつある大国であることは疑う余地のないものだ。これは中国そのものの歴史と現代の中国人の努力の賜物であり、同時に、米国が本来果たすべき国際的責任を果たせなかった部分において、中国に台頭の余地を与えたことによるものだ」と指摘した。
かたやパウエル氏は、「中国の発展は米国に多くのメリットを与えてきた。低価格且つ良質な中国製品は米国民のニーズを満たしてきた。いま、米国が中国と貿易戦争を展開することで傷つくのは米国の消費者だ」とし、「三十万を超える中国からの留学生は米国の大学に学費を全額支払ってきたというのに、ホワイトハウスはその学生たちを追い出せという。これには多くの大学の学長らも同意しないだろう」との考えを示した。
パウエル氏は米国の大統領国家安全保障担当補佐官、米軍統合参謀本部議長、国務長官を歴任し、米中の軍事バランスや外交協力にいずれも豊富な知見を有している。その為、氏は外交的対話の方式による問題解決を主張している。パウエル氏はインタビューの中で、自身の任期内に起きた南海での飛行機衝突事件時における中米の処理方法を例に挙げ、相手国への尊重を強調し、威嚇では問題を解決できないとの考えを示した。それによって、「些細なことが大事に発展したり、エスカレートして危機を醸成しないようすべきだ」とした。氏は、「現在のホワイトハウスには対中戦略を明らかに欠いており、国防総省も中国やロシアを米国の敵と定めることにばかり忙しくしている」とし、「米国の方法は間違っている。対話とコンタクトの方策を探るべきであり、同時に、別の国家が米国とは違うということを認めなければならない」と強調した。
米国の対中接触の開拓者でもある、もう一人の元国務長官であるキッシンジャー氏も思うところが多いようだ。先月行われた米国のシンクタンクであるウィルソンセンターの創立50周年記念イベントの場で、元駐中大使であるステイプルトン・ロイ氏と対話し、「中米両国は共に自らの考えに基づいて世界を組み立てる実力を有している」と指摘、「米国の自信は民主憲法政治体制のバックボーンによるものであり、中国の自信は数千年に渡る独特の管理手法から産まれた知恵によるものだ」とした。
キッシンジャー氏は、目下の世界の平和と判定は中米両国が共に努力できる方法を見つけられるかどうかにかかっているとし、「双方の思考法は常に一致を見るとは限らないが、少なくとも双方の齟齬をコントロールすることはできる。他にも、双方の歩み寄りに向けた目標を設定すべきであり、世界はそうした仕組みを考えていくべきだろう」と述べている。
氏は、「中国人は政策を長期のプロセスと考えて推進するが、米国人は極めて現実的であり、即効性を期待しがちだ。これは米国人が両国の交渉の過程において短期間での解決を望む点に現れているが、中国人はもっと長いスパンの目標を持っている」と指摘する。氏は、中米双方は互いに学びあえる存在であり、互いに学びあうべき存在と考えているようだ。