【CRI時評】「うまみ」だらけの米国は何を損しているというのか

　この半年エスカレートを続ける中米貿易摩擦の過程において、米国側が常に持ち出す問題の一つに対中貿易における巨額の赤字がある。「米国は損をしている」というものだ。そしてこの問題は、米国がカナダ、メキシコ、EU、日本など、主要貿易相手国からの輸入製品にも強制的に徴税を行う原因の一つにもなっている。では、米国は本当に対中貿易で損をしているのか。実のところはどうなのだろうか。

　傅自応商務部副部長兼国際貿易交渉代表は25日（火）、北京で、「貿易差額は取引量の差に過ぎず、金額的損得の多寡を言ったものではない。米国が中米貿易で損をしているかどうかは、企業と消費者が一番わかっていることだ」と述べた。

　40年近くの発展を経て、中米両国の経済は深く結びつき、相互依存を深めている。中米の貿易規模は7000億米ドルに上っており、米国企業の中国国内における営業額も7000億米ドルに達し、利益も500億米ドルを超えている。

　また、中米両国は世界の産業チェーン、バリューチェーンにおいてそれぞれ異なる位置にあり、米国は上流に、中国は中下流にそれぞれ位置している。中国企業の利益の大部分は加工費が占めるものの、米国企業はプロダクトデザイン、部品供給、マーケティングなどの部分で既に莫大な利益を得ている。

　消費の部分で見れば、大量のコストパフォーマンスに優れた中国製品は既に米国の多くの家庭に浸透し、米国の消費者の選択肢を豊かにし、リビングコストを抑制し、米国の民衆、特に中低所得者層の実質的購買力を引き上げている。

　中国は世界における巨大且つ高速に成長を遂げる市場として、中米経済貿易協力において米国企業に莫大なビジネスチャンスを提供している。米中貿易全国委員会(USCBS)の『2017年度米国各州対中輸出レポート』によれば、2017年に米国の農業従事者は一人につき中国に10000米ドル以上の製品を輸出しているという。

　そもそも根本から考えれば、自由貿易の本質とは一方に買う意思があり、一方に売る意思がある状態だろう。米国側がより多くの中国製品を購入すれば、貿易赤字は増えることになる。これは「押しつけ」が存在するという意味ではなく、中米両国の経済構造や世界の産業における分業など、様々な要素に起因するものだ。

　米国は自動車、飛行機、農産品、サービス業などコンペティティブな産業においては対中黒字を維持している。この月曜日に公表された『中米経済貿易摩擦における事実と中国側のスタンス』白書によれば、2017年に米国から輸出された大豆の57%、ボーイング社製の飛行機の25%、自動車の20%、半導体の14%、綿花の17%はいずれも中国に向けたものだ。

　中米の経済貿易関係において、米国人が最も話題に出したがらないのは540億米ドルを超えるサービス貿易の黒字だ。米商務省の統計によれば、2016年現在、中国大陸部から米国を訪れた観光客は13年連続で成長を見せており、その内12年の成長速度は二桁に達している。一方、中国当局の統計では、米国は中国人学生の留学先のトップであり、2017年における在米中国人留学生の数は約42万人に上り、米国に約180億米ドルの収入をもたらしている。また、中国が米国に支払っているパテント料も2011年の34.6億米ドルから2017年の72億米ドルへと、わずか6年間で倍増を見せている。

　また、実際には、中米貿易の不均衡は米国の対中輸出制限にも関係している。米国の関連機関の調査では、民生用ハイテク製品の対中輸出制限を緩和すれば、米国の対中貿易赤字は35％減少させることができるとされる。

　こうしたことからわかるのは、中米貿易の往来における利益はほぼバランスされており、純利益では米国側が優勢だということだ。斯様に中米貿易の「うまみ」を得る米国が喧伝する「米国大損論」とは、如何に説得力なき叫びであろうか。（CRI論説員　許欽鐸）