北京
PM2.577
23/19
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は1日、トランプ大統領の指示を受け、2000億米ドル相当の中国製品に対する追加関税税率を10%から25%に引き上げることを検討する旨を発表した。これは、トランプ政権が中国に変化を促すためのオプションとして用意されたものだ。
注意すべきは、ホワイトハウスは追加関税の税率を引き上げるとする一方で、方々に中国と交渉を再開するという触れ込みをしている点である。この点について、商務部は「米側は世界の利益だけでなく、米国の農家や企業家、消費者の利益すら顧みず、中国側に対して飴と鞭を同時に提示するという策を弄している。これは中国側には何の効き目もないばかりか、世界の貿易戦争に反対する国家と地域を失望させるものだ」と指摘する。
米国は現在、政治、経済、軍事、テクノロジーなどの分野で絶対的な優勢を誇っている。このような超「強」国が、なぜ同盟国や他国にこのような体面を汚すようなゆすり行為を用いるのであろうか。客観的に見て、これはホワイトハウスを取り巻く政治的環境と密接な関係があると言えるだろう。
まず、ホワイトハウスの主であるトランプ氏はかつて成功を収めたビジネスマンだったという要素がある。彼が大統領選に出馬した際、「Make America Great Again(再び米国を偉大に)」をスローガンとし、当選後には企業統治の理念をホワイトハウスに持ち込み、ビジネスの場で成功を収めてきた「芸術的ディール」を国家関係にも持ち込もうとした。しかし、この「ディール」の中身はといえば、「手練手管を弄し、虚勢を張る」など、どう見ても上品とは言えない手段にすぎなかった。実際には、国家運営はビジネスではあり得ない。ビジネスの方法で国家を統治することは、米国の国家の品格を毀損することに繋がるのみならず、米国の選挙民に対しても無責任な行為といえるものだ。
次に、USTRのライトハイザー代表、ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長などをはじめとする強硬派が力をつけているという要素もある。『ニューヨークタイムズ』によれば、2000億米ドル相当の中国製品に対して25%の関税を課すという今回の提案は、彼ら強硬派アドバイザーが建議したものだ。このトランプ政権のアドバイザーらの狙いは何なのだろうか。「米国貿易界の帝王」と呼ばれるライトハイザー氏は、20世紀80年代の「プラザ合意」の戦績を蘇らせ、歴史に名を残そうと躍起になっているようだ。また、『Death by China(中国がもたらす世界の死)』論をぶち上げたナバロ氏は、十数年かけて作り上げたその仮説を実践し、外界や学術界から向けられている「机上の空論」との懐疑を晴らそうとしている。そして、日和見主義のバノン氏に至っては、メディアから「トランプ大統領に強硬な関税政策の考えを吹き込み、個人的利益を得ることを画策している」との指摘を受けている。
しかし、中国文化は「一尺譲られれば一丈譲り返す」ことを旨としている。もし米国がこの先もこちらを際限なく追い詰め、中国の国家の利益と国民の核心的利益を侵害するのであれば、中国側は必ずや報復に出ることだろう。中国側は一貫して対話で齟齬を解消することを主張している。しかし、対話の前提は平等な立ち位置と信用を守ることに始まる。
「もし米側がこれまで繰り出してきた脅し透かしが奏功しなかったならば、次はどんな手を繰り出してくるのだろうか」−−―――今、中国だけでなく、世界の全ての国がその一点に注目している。(CRI時評担当論説員)