【之江の潮押し15年間】浙江省の発展の原動力を探る

　中国東部に位置する浙江省。去年1年間のGDPはスイスとほぼ同じであり、体制的に柔軟で開放度が高く、経済成長も急速で1人あたり所得が高く、協調的な発展を遂げている省となっています。その発展の原動力ですが、地元民は口をそろえて「八八戦略」と答えます。習近平国家主席がここで中国共産党委員会の書記を務めていた2003年7月に、創造的に打ち出された発展へのガイドラインであり、「8つの優位性を発揮させ、8つの面で措置を取る」といった内容のものです。地元の人々や中国各地の政府関係者、各分野における専門家や学者らは、「15年前の『八八戦略』は、中国の特色ある社会主義を対象に、効果のある実践や理論の刷新を進めてきた」とみています。

　面積はわずか10万平方キロあまりの浙江省ですが、去年の経済規模は5兆元を上回りました。地元の人々は、2003年に習近平氏が話した内容を今でも覚えています。習氏は、「浙江省が経済面で歴史的な変化を起こすために最も重要なのは、生産関係について生産力の発展ルールを守ることだ。市民のイノベーション精神を尊重し、所有制の構造を積極的に調整し最善化して、体制的に有利にしていく」と述べました。

　地元企業である物産中大グループは、何年も連続して世界のトップ500社に選ばれています。王挺革取締役会長は「習総書記は現代企業制度の確立を再三強調してきた。われわれは最近、構造改革を行っている」と答えてくれました。今年は日本のDHCや韓国のLGなどの有名企業からライセンスを取得し、売上収益ともに50％以上の成長を果たして、中国のB2B（企業間電子商取引）でトップに躍り出ています。

　このほか、登録資本金が20億元（約337億円）に及ぶ温州民商銀行が中国初の民営銀行として創設されました。その株主企業13社はいずれも温州を拠点に成長してきた民営企業です。同行の創設に携わった温州市経済学会の馬津竜会長は、「より大きな意味で言うと、我々が最終的に完全な市場経済を構築するためのプロセスにおいて、この銀行の創設は制度上の突破口として役立った」としています。

　浙江省による実践は、習主席の15年前の科学的な判断を実証しています。2003年当時、中国共産党浙江省委員会の書記を務めた習氏は、『八八戦略』の第1条として、「浙江省の体制上の優位性を生かして、共有制を主体とする多角所有制経済の共同発展の推進に力を入れ、社会主義市場経済体制の完備を図っていく」と打ち出しました。

　統計によりますと、去年、浙江省の国有企業と国有持ち株企業の数は、一定規模以上（年間売上高が2000万元以上に達する）工業企業の1.9%を占めているにもかかわらず、18.5％の付加価値を創出したということです。一方、民営経済は引き続きその優位性を生かし、全省の65％の生産高と80％の雇用機会を創出しています。

　このデータの背後にはまた、浙江省企業が絶えず生み出している発展の活力と、日増しに整備が進むビジネス環境があります。2016年、浙江省は「ワンストップ式」の審査批准プロセス改革を実施し始めました。これは、2004年からスタートした政府機関サービスの効率向上に向けた事業の新たな措置です。中国で発展速度が最も早い地方の1つとして、浙江省の各レベルの政府は、中国で「審査批准手続きが最も簡略化された、事務処理の効率が最も高い、政務環境が最も優れた、人々と企業の充実感が最も多い」省となることを目指しています。（翻訳：藍、洋　/ チェック：森、謙）