北京
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23/19
米国のトランプ政権が7月に仕掛けた貿易戦は各国から強い反発を招いています。カナダが126億ドル相当、メキシコが30億ドル相当の米国商品に対しそれぞれ追加関税を発動したのに続き、中国もやむなく6日から340億ドル分の米国品に追加関税をかけ始めています。またロシアもこの日、一部の米国品に追加関税を課すと発表しています。
グローバル産業チェーンの利益に関わる今回の貿易戦は、さらに多くの国々を巻き込むと予想されています。こうした背景の下、宥和政策をとっている国は「返り討ち」に十分注意する必要があります。
米国が6日に発表した6月の雇用データによりますと、雇用人数は21万3000人分増加し、中でも製造業の伸び幅が目立つとのことです。トランプ大統領は、「多くの国から電話があり、合意に達したいと願っている」と表明しており、米国が貿易戦の勝者と判断する見方も出ています。
一方、同じく6日、「ニューヨークタイムズ」は、米国産大豆の先物価格が先月25日から15%値下がりしたと報道しています。農家の所得が減って原材料や設備の購買力が下がり、経済に影響を及ぼすと分析しています。
世界中のほかの出来事と同様に、今回の貿易戦が始まった理由やその「仕掛け人」は、いずれ忘れ去られることになるでしょう。ただ、貿易戦は米国に始まり、カナダとメキシコ、中国による報復関税はいずれも同じ規模だという原則がはっきりしています。貿易戦にけりをつける「ボール」は今、トランプ政権にあり、彼らが先に行動を取るべきです。
米国を相手とした各国による追加関税対象品は、8日現在で約750ドル分に達し、うち340億ドル分が中国品であることから、今回の貿易戦は中米間の争いとも捉えられているようです。ただ、米シラキュース大学の研究報告によりますと、米国が追加関税を課す中国製のパソコンやデジタル製品のうち、87%は外国企業が中国で生産したもので、中国企業の製品は全体の13%のみとなっています。
つまり、今回の貿易戦争では、それぞれの国が主役であり、かつ受け手でもあります。「日経アジアンレビュー(Nikkei Asian Review)」は7日のコメントで、「世界の先進国は声を一つにして、トランプ政権に自由貿易体制の重要性を訴える必要がある。日本やヨーロッパの大手企業は、米国企業と共にトランプ政権の保護主義政策に反発すべきだ」と呼びかけています。
国務委員である王毅外交部長は5日、オーストリア外相と共同記者会見を行った際、「中国が保護貿易主義に反対するのは、自国の合法的利益を守るためだけでなく、欧州連合(EU)を含む世界各国の共通の利益を守るためでもある。中国は今、一国主義や保護貿易主義に反対する最先端に立っており、背後からの不意打ちは望まない」と強調しました。
トランプ政権が仕掛けた貿易戦は、中国の発展を抑え込むと共に、経済のグローバル化への宣戦でもあります。片方だけダメージを受けるように見えながら、実際は産業チェーンとバリューチェーンの各国の利益が損なわれます。
グローバル化を背景に、一方が貿易戦を仕掛ければ、他方は義務や責任、利益を共有し、力を合わせて世界の経済復興や発展に対する一国主義や保護主義によるマイナスの影響を最小限に抑えるべきです。こうして初めて、協力ウィンウィンが果たせるのです。(怡康、森)