米の貿易戦争は世界の産業チェーンに損害＝専門家

　米国は6日から340億ドル相当の中国製品に対して25％の関税を課し、経済史上最大規模の貿易戦争を引き起こしました。これに対して中国は打ち返すことしかできませんでした。中国の経済学者らは「米国が起こした貿易戦争は経済規則に背くもので、世界産業チェーンがひどく傷つけられるだろう」と指摘しています。

　なぜ米国がこれまでの経済史上最大規模の貿易戦争を引き起こしたのかということについて、7日に行われた「国是フォーラム」で、専門家らは「米国が貿易戦争を起こしたのは、自国の貿易赤字や不均衡問題を解決するためではなく、中国をけん制するために戦略的に考慮したことが原因の一つに違いない」と見ています。

　商務部国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は「現在、米国の経済情勢は好転しており、不景気の時代を迎えたとは言えない。この時期に貿易戦争を引き起こしても、米国の就業や福祉を効果的に増加させていくことはできない」と分析しています。

　さらに梅研究員は「米国が貿易戦争を引き起こしたことについて、経済の角度から見れば、経済の論理に適合しない。中米間の摩擦の本質は、古くからの覇権を持つ米国が新興大国の中国をけん制しようとするものだ。この貿易戦争はこれまでの数十年、中国をけん制しようとする米国の策略が失敗し、新たな段階に入らなければならないことを示しているに過ぎない」と述べました。

　米国は340億ドル相当の中国製品に対して25％の関税を課すと発表したところ、中国側は同日即座に反応し、同じ規模の米国製品に対して25％の関税を課すと発表しました。

　中国国家統計局が公表したデータによりますと、今年第1四半期の国内総生産（GDP）の成長率は6.8％で、第2四半期は引き続き速いスピードで成長することが期待されます。また、1月から5月までの全国の貨物輸出入総額は11兆6320億元（約1兆7400億ドル）で、去年同期と比べ、8.8％増加したということです。

　中国国際貿易学会専門家委員会の李永副主任は「経済が安定的に発展していくことは、貿易戦争に応じる最も重要な資本である」と指摘しています。李副主任は「私たちの経済は新常態（ニューノーマル）に入った。Ｌ型にしてもほかの何型にしても、最近の経済成長は安定している。われわれの経済成長率は6.5％から6.9％の間に設定された。今後の貿易戦争の過程で、われわれが考えているのは6.5％という底線で、今年はこの目標を達成することはそれほど難しいことではない」と話しています。

　米国が発表した25％の関税を課す340億ドル相当の中国製品のうち、在中国の外資企業の製品が59％を占めており、そのうち、米国企業はかなりの比率を占めています。

　商務部研究院国際市場研究所の白明副所長は「経済のグローバル化という時代の背景の下で、米国は貿易戦争を引き起こした。世界の多国間貿易システムに衝撃を与え、世界の産業チェーンやバリューチェーンに影響を及ぼしていくだろう」と分析しています。

　また、白副所長は「われわれが生産したアップルの携帯は中国の富士康で加工されたもので、その上部になれば多くの付加価値がある。一部の材料は韓国や日本、欧州から輸入したもので、米国本土から輸入したものもある。トランプ大統領の制裁措置は中国の製造業に衝撃を与えるが、上部への損害はさらに大きくなる。トランプ大統領のやり方は中国に圧力をもたらしただけではなく、世界の産業チェーンにも大きな衝撃を与えている。この産業チェーンは国際分業の基礎であり、ある程度の範囲で現在の経済グローバル化を支えてきた。産業チェーンが影響を受けたと言うなら、将来『反グローバル化』によるグローバル化への挑戦はさらに大きくなるだろう」と分析しています。（藍、星）