北京
PM2.577
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米国のポンペオ国務長官は18日、デトロイト経済クラブで講演し、米国経済の復興戦略を解説しました。また、2年前の8月8日、当時共和党の大統領候補であったトランプ氏が、同じ場所で「一国主義」の経済政策を主張しました。
ポンペオ国務長官は講演の最初から最後まで「経済」を中心に語り、世界経済の舞台における米国の主権維持、外国市場の障壁を取り除くことによる米国への開放の確保、対米投資の推進、豊かなエネルギー資源を活用する優位性、米国の利益を損なう手法に対する強硬策など、経済外交の主要目標を述べました。その上で、その矛先として中国を名指ししています。
さて、今回のポンペオ国務長官の講演を聞いていると、混乱が生じてきます。
まず政策の面で、トランプ大統領は去年9月の第72回国連総会での演説で「これからは、対外的な価値観輸出に尽力するのではなく、米国が何を得られるかを重視する」と述べていますが、一方のポンペオ国務長官は今回の講演で、経済外交は米国務省の主要な使命だと述べ、「米国の実力、経済力、影響力を政策ツールとして、米国の利益を実現させ、世界各地で我々の価値観を推し広めていく」としています。では、今期の米国政府の外交の重点は一体なんなのでしょうか。目に見える利益を追求するのか、それとも価値観の輸出を継続するのか、どっちなのでしょうか。
次に、権限の面でも混乱が発生しています。米国政府という組織において、国務長官は外交を担当するほか、一部の内務を兼任するものですが、今回、ポンペオ国務長官は「経済外交」を主旨に講演しています。しかも、その内容は米国経済、中米貿易、関税、自由貿易に及ぶなど、商務省、通商代表部、財務省などの管轄を一括して述べており、その権限を遥かにオーバーしています。
ポンペオ国務長官の今回の講演で見えてきたこれらの「異常」は、トランプ政権内部の組織の混乱、そして政策の混乱、さらにはホワイトハウス内部の不安をも反映したものではないでしょうか。