韓国のイ・ミョンバク（李明博）大統領は20日、東京に到着して、大統領就任後初めての日本訪問を始めました。韓国の大統領としては3年4ヶ月ぶりの訪日です。

　日本のメディアの報道によりますと、イ・ミョンバク大統領は21日福田康夫首相と会談し、中日韓三ヶ国首脳の定期会合について協議を行うほか、朝鮮半島核問題や、両国の経済貿易協力問題、環境とエネルギー分野における協力、世界の気候変動問題などについて意見交換する予定だということです。

　日韓関係はここ数年、行き詰まり状態にあります。両国は、竹島（韓国では独島と呼ばれる）の主権問題や、日本海（韓国では東海と呼ばれる）の名称の問題、歴史問題などについて争っています。日本の小泉純一郎元首相がA級戦犯を祀った靖国神社を参拝したことに対して、韓国は強い不満を表しました。両国の間で行っていた"シャトル訪問"という年に1回の指導者の相互訪問も、これによって2005年6月以降中止されました。

　しかし、日韓関係はイ・ミョンバク氏が韓国の大統領に当選したことによって転機が訪れました。イ・ミョンバク大統領は日本の大阪で生まれ、徹底的な実用外交を行っています。イ・ミョンバク大統領は大統領に当選した当日、韓国駐在のアメリカ大使と日本大使とそれぞれ会談して、アメリカとの同盟関係の強化と韓日関係の回復を約束すると共に、就任後の最初の訪問地をアメリカと日本に決めました。

　日本に対する態度では、イ・ミョンバク大統領は強硬だったノ・ムヒョン前大統領とは異なり、経済の振興を当選後の重要な課題にしています。これは、実用的な外交に基いて、経済関係が緊密な日本と接触し、関係改善に取組んでいることを示しています。日本のメディアのインタビューに答えた際、イ・ミョンバク大統領は「過去に拘らず、日本に対して謝罪と反省を改めて要求しない。未来志向の韓日関係を構築していく」と表明しました。

　イ・ミョンバク大統領の態度表明に対して、日本政府も積極的な反応を示しました。福田康夫首相は、2月に行われたイ・ミョンバク氏の大統領就任式に出席して、双方は、シャトル外交を回復させることで合意しました。これは、両国関係が基本的に回復したことを示しています。また、双方は日韓新時代の構築について共通認識に達しました。イ・ミョンバク大統領は福田首相に感謝の意を表すため、今回の日本訪問に同意しました。一方、福田首相はイ・ミョンバク大統領に、7月に北海道の洞爺湖で行われるG8サミットへの招待状を出しました。韓国がG8サミットから招待を受けたのは、これが初めてです。このほか、双方は、中止されて3年余りになる経済協力協定の締結協議を復活させることで合意すると共に、朝鮮半島核問題での協力強化にも同意しました。

　ところが、関係の回復は日本と韓国の間の問題が短期間に解決されることを意味していません。両国の領土の争いは回避できない事実であり、歴史問題の認識でも大きな差があるからです。分析者は「ノ・ムヒョン大統領は韓日関係の発展を重視すると表明したが、一連の問題で双方の食い違いが拡大したことから、ノ・ムヒョン政権は日本に対する態度をますます厳しくした。現在、イ・ミョンバク大統領も韓日関係を強化する姿勢を示しているが、多くの不確定な要素があるため、今後の韓日関係がスムーズに発展するとは保障できない」と述べました。