中国の高強衛生相はこのほど、「関係部門は、今後、都市部と農村部の医療資源に見られる格差を縮め、農村地域での医療サービスを高めるため、都市部病院の医師を農村部により多く派遣する。さらに、この活動を長期化し制度化させていく」と表明しました。
中国の医療資源は80%が都市部に集中しており、残る僅か20%は農村部にあります。農村部のこのような医療条件の立ち遅れた状況を改善するため、中国政府は、向う5年内に農村部の医療衛生施設の建設に300億元の資金を投入する計画を立てました。また、衛生部門は、農村での医療サービスと医療技術に関する訓練を展開するため、農村部に1万人余りの都市部の医師を派遣しています。
これについて、高強衛生相は、「関係部門は、中部と西部地域にある518カ所の大型総合病院で働く1万人あまりの医師を農村にある1300カ所の医療衛生機構に派遣した。ここ2年来、延べ200万人余りの農村住民に医療サービスを提供し、延べ56万人の医療関係者に訓練を施し、地元の医療技術のレベルを大きく向上させた」と語っています
中国の病院はほとんどが国営の病院であるため、政府は都市部の医師を農村部に定期的に派遣することができます。また、医療サービスと医療技術の訓練を展開するとともに、都市部の病院は、農村病院の管理能力の向上と制度の規範化をサポートするのです。これは、農村部の医療機構のサービス能力を高めただけでなく、農民の医療上の負担を軽くしています
中国政府は、また、農村部に派遣された都市部の医師には一定の優遇措置を講じています。例えば、昇進、資格の認定、トレーニングチャンスなどでは、農村支援で経験を持つ人を優先するほか、政府の財政部門もこれらの医師に一定の手当てを出しているのです。これについて、中国の王軍財政次官は、「一昨年と去年、中央財政部門は1億3500万元と2億7000万元近くの資金をそれぞれ拠出し、農村部に派遣された医師への給料と手当に充てている。また、地元の財政部門もそれ相応の手当てを出している。中央財政部門はこれからも農村部への医療支援プロジェクトを支持し、資金の投入額とその実施の範囲を一層拡大していく」と話しています
また、中国の高強衛生相は、「ここ2年、都市部の医師を農村部に派遣するというプロジェクトは、都市部と農村部の医療事業のアンバランスな発展状況を効果的に改めた」と語ったあと、「農村部への医療支援プロジェクトは、中国の衛生事業の現状に見合ったもので、今後も実施していかなければならない。1年や3年だけではなく、このプロジェクトを1つの制度として、長期的に実施していく」と話しました。
高強衛生相はまた、「国情に基づき農村部の医療衛生事業の発展を速めるには、都市部と農村部の医療資源を調整しなければならない。いま、衛生省は、これに関する基本制度の制定を模索している。この制度には、都市部医師の農村部への派遣のほかに、農村部の医療関係者の都市の病院での研修活動、農村部でのさまざまな医療サービスの実施、農村部に適用する医療技術の普及などが含まれている」と述べました。
(翻訳:洋)
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