国の政治危機を解決するため、出口を探そうとするレバノンの国民対話会議が11日、結果を得ずに閉幕しました。会議の提唱者でもあるベリ議長はメディアにノーコメントでした。ヒズボラのガシム副党首は談話を発表し、「現在のレバノン政府が国の挑戦に対応する能力がないことから、ヒズボラは時間の無駄をせずに、同盟者と単独で『行動綱領』を検討するつもりだ」と述べました。さらに、その後、レバノン政府の5人のシーア派閣僚が辞任を発表しました。これはレバノンの政治危機がレバノンとイスラエルの衝突が終了した後表面化していくことを示しています。
今回の国民対話会議は、イスラエルとの衝突が終了した後、レバノンで開かれた初めての全国的な対話会議で、新しい情勢の下に現れた新しい課題の解決を目的としたものです。この新しい課題とは、ヒズボラと前軍政府指導者オウン氏をはじめとするキリスト教政党が、民族統一政府を樹立し、その政府の三分の一以上の閣僚の議席を要求していることです。彼らはまた、選挙法の改正や議会選挙を前倒しすることを求めています。
ヒズボラとオウン派が以上のような主張を出したのは、その政治的思考があります。
まず、レバノンの法律によりますと、内閣の決議は三分の二の閣僚の同意を得なければ可決できないということです。ですから、反対派が三分の一以上の議席を獲得すれば、内閣の決議を否決できるようになるのです。
その次、レバノンは議会民主制の国であり、議会選挙の結果によって、各党派の国家権力を占める状況が決まります。シニウラ政権がシーア派の参加を要請したほか、アメリカに「テロリズム」と名づけられたヒズボラも初めて政府に参加できたものの、少数派の地位に立ったシーア派は、国の政権を主導する多数派に不満を示しています。また、オウン派は、議会への参加を拒否し、野党としての立場を持っています。一旦チャンスがあれば、これらの反対派は議会選挙で現れた国民支持率にしたがって、国家権力の再分配を要求します。
そして、第三に、レバノンとイスラエル衝突によって、ヒズボラは国家権力を獲得するチャンスに恵まれました。ヒズボラはこの衝突によって、自らの声望と影響力が高まったと確信しており、議会選挙を繰り上げるよう要求しています。
これに対して、専門家は、「現在、レバノンの政治的環境は以前と違っている。シリアの撤退に伴って、シリアに反対する勢力とシリアを支持する勢力の対決は、すでに各党派が自らの利益を保つため、国家権力を争うことになっている。レバノンの政治面の食い違いは、国内の各党派の話し合いを通じて解決されるべきであり、話し合いを通じて政治的和解を実現することは、国の統一を保つ唯一のルートだ」と見ています。国民対話会議が中止していますが、会議に参加した各党派が対話の失敗を公に認めていないことから、政治的な手段を通じて各党派の食い違いを無くす可能性は、まだあるでしょう。
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