アメリカとフランスは5日、イスラエル軍とヒズボラとの停戦を求めた決議案に合意し、国連安保理に提出しました。
アメリカとフランスの決議案に対し、イスラエル政府は立場を表明しないものの、ラモン法相は6日メディアに対し、「この決議案はイスラエルに有利だ」と明言しました。
アメリカとフランスの決議案は敵対行為の停止を呼びかけ、原因からの危機の解決を強調しています。
決議案は「領有権の争いがある地帯を含めたレバノン国境を確定し、敵対行為の再発を防止する安全保障案を制定し、国連決議に基づき、レバノン領内の民兵組織全体に対する武装解除を実施し、レバノン南部で国際部隊を展開する」など、永続的な停戦実現と政治的解決の条件を設けています。
イスラエル外交筋は非公開の場で「アメリカとフランスの決議案はイスラエルの利益と要求に配慮している」と語りました。
アメリカとフランスの決議案では交戦勃発の原因がヒズボラにあると断定し、拉致されたイスラエル軍兵士の無条件解放を要求したものの、イスラエルに拘束されたレバノン人の即時釈放を要求せず、この問題の解決を求める表現にとどまっています。
イスラエルは「決議案は敵対行為の停止を双方に呼びかけたものの、イスラエルは自衛権を持っている」と表明しました。
決議案はまた「レバノンのリタニ川南部を緩衝地帯に設定し、レバノン軍と国際部隊以外の武装勢力を排除し、武器規制の実施を求め、外国からの武器輸送を禁止する」としています。
これはイスラエルの目的に合致しています。
しかし、この決議案はレバノン南部からのイスラエル軍撤退に詳細に言及しないため、イスラエル軍にとってレバノン南部占領は国際部隊展開までの継続が黙認されています。
レバノン国境画定問題で決議はシェバ農場など領有権の紛争がある地帯に言及しています。
シェバ農場はレバノン、シリア、イスラエルの三国に隣接しています。
1967年の第3次中東戦争でイスラエルはシリア領のシェバ農場とゴラン高原を占領しました。
イスラエルはシェバ農場をシリア領と認め、2000年レバノン南部からの軍撤退を実施したものの、シェバ農場の占領を継続しています。
これに対し、レバノンはシェバ農場の自国領有を堅持しています。
イスラエルのラモン法相は「アメリカとフランスの決議案はイスラエルに有利であるものの、イスラエル軍の戦闘目標が達成されていないため、ヒズボラへの攻撃を継続していく」と表明しました。
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